研究課題/領域番号 |
17KK0146
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
森田 鉄兵 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (10444366)
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研究期間 (年度) |
2017 – 2019
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キーワード | 小分子RNA / 転写後制御 / Hfq / 大腸菌 / 転写終結 |
研究実績の概要 |
本課題は、細菌に存在するHfq結合型小分子RNA(sRNA)において、sRNAの性質であるHfq結合領域の構造原理の解明、及びsRNAの転写終結調節の分子機構の解明を目的とする。本年度は7月より1月末まで、アメリカ国立衛生研究所(NIH)のSusan Gottesman博士の研究室に滞在し、共同研究により本課題研究を遂行した。Gottesman博士の研究室にあるsRNAライブラリーを利用し、特徴的な転写終結領域を持つ2つのsRNAについて、sRNA生合成過程における転写終結の役割を解析した。その結果として、応募者らがこれまでにモデルsRNAとして用いてきたSgrSと同様に転写終結がsRNA機能に重要であることが示唆された。加えて、Gottesman博士の研究室には、遺伝子のスクリーニングのノウハウが蓄積しているため、SgrSの転写終結に影響を与える遺伝子を探索できるレポーター系を構築し、目的に資する遺伝子の探索を行った。適切な位置での転写終結はSgrSの機能に必要である。プラスミドライブラリーを用いて遺伝子を探索した結果、SgrSの転写終結に影響を与える遺伝子をいくつか単離した。続いて、それの機能解析を行い、単離した遺伝子がたしかにSgrS転写終結に影響することを明らかにした。研究遂行と並行して、sRNAの転写終結に焦点を当てた総説論文をGottesman博士らと共同執筆し、Frontiers in Cellular and Infection Microbiologyに投稿した。現在、Minor revisionの段階である。渡航中、カナダで開催されたRiboclubに参加し、複数のPIと研究打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共同研究者であるGottesman博士と良好な関係を築いたことは、本年度のもっとも意義のある進展であると考える。その結果として、総説論文の共同執筆に至った。また、sRNAの転写終結に影響を与える遺伝子の単離に成功した。得られた遺伝子と転写終結の関連性はこれまで報告されておらず、新規であった。これらのことから、本課題研究は、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
転写終結に影響を与えた遺伝子によるsRNA生合成への影響を解析する。Gottesman博士とは、Skypeやメールを通して、継続的に連絡を取る。解析にあたっては、転写終結領域を読み飛ばした転写産物の役割、転写終結調節の意義にも重点を置く。2019年秋に共同研究者であるGottesman博士を日本に招聘し、国内でのセミナー、および研究打ち合わせを行う予定である。また、NIHに所属する他のPIの日本招聘も検討している。
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