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2020 年度 実施状況報告書

細菌型sRNAにおけるHfq結合領域の構造原理の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17KK0146
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

森田 鉄兵  慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任講師 (10444366)

研究期間 (年度) 2017 – 2021
キーワード小分子RNA / 転写後制御 / Hfq / 大腸菌 / 転写終結
研究実績の概要

Hfq結合型小分子RNA(sRNA)は、細菌に広く保存された遺伝子発現制御因子である。本研究課題では、sRNAがどのような機能構造を必要とするかの解明を目的に据え、転写終結に焦点を絞ったsRNA3’末端形成に関わる解析を進めている。本年度4月に慶應義塾大学先端生命科学研究所に特任講師として異動したが、所内にはすでに十分な研究環境が整っており、本研究課題がより円滑に遂行するものである。本年度は、平成30年度NIHで得た、SgrS sRNAの転写終結に影響を及ぼすいくつか新規遺伝因子について、それらの機能解析を引き続き進めた。主な結果として、新規因子の1つがsgrS遺伝子の転写終結産物、及び読み飛ばし産物の両方を安定化することを明らかにし、この因子が直接RNAに結合し、転写終結に影響を及ぼすことが示唆された。また、もう1つの新規因子は、転写終結因子Rhoの阻害機能を有する。sRNAの転写終結は、一般的に、Rho非依存的、塩基配列依存的に起こる。しかしながら、Rho阻害剤であるBicyclomycinを用いた実験でもsRNAの転写終結が阻害されることを確認したため、Rho非依存的転写終結を起こす転写終結領域でも、Rhoが関与する可能性が示された。これは、細菌での転写終結の概念の再構築をもたらす発見であると考えられる。さらに、新規因子の影響をゲノムレベルで明らかにするためにRNA-Seq解析を行い、影響を受けた転写領域の情報解析を進めている。加えて、機能が明かされている10種のsRNAについて、転写終結のモニター系の構築を進めた。これらの結果は、第94回 日本感染症学会学術講演会(東京)で発表した。また、NIHに所属するGisela Storz博士を日本に招聘し、日本感染症学会学術講演会やTokyo RNA clubでのセミナーを予定していたが、Covid-19の影響で来日が中止となった。国際共同研究者であるSusan Gottesman博士とは、WebEx(月1回)や電子メールにより定期的にディスカッションを行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新規因子の機能解析が大幅に進み、現在は論文投稿の準備段階に至っている。次年度の早い時期での投稿を予定している。また、多数のsRNAモニター系の構築や、RNA-Seqによるゲノムレベルでの解析は、sRNAの構造原理や転写終結制御の解明につながるものである。Covid-19の影響で海外PIの招聘は中止となり本研究課題は再延長としたが、上記に挙げた点から、本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

新規因子の転写終結への影響が直接かどうかを明らかにするために、新規因子とsRNA転写終結領域との直接的相互作用を解析する。この結果を取り入れ、これまでの成果をまとめて論文として発表する。また、American Society of Microbiologyが主催する国際会議(Online)など、国際的な場での成果発表を予定している。そこで交わした議論をもとに、さらにsRNA研究を進める。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] オミクス研究が明かす多階層での遺伝子発現の制御様式2020

    • 著者名/発表者名
      森田 鉄兵
    • 学会等名
      第94回 日本感染症学会学術講演会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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