研究課題
2020年度は、GBA1とGBA2の酵素反応産物である糖化ステロールについて、液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)を用いた組織化学的局在解析法の開発を継続した。LC/MSを用いた糖化ステロールのイメージング技術の開発には、指定した微小領域由来の脂質抽出物をロスなく分析に供する方法と、分析方法の高感度化が必要不可欠である。2020年度は前者について検討を進め、溶媒抽出表面分析法の検討と従来の液液抽出法の改良を行った。溶媒抽出表面分析法では、脳切片から有機溶媒を用いて抽出した脂質溶液を直接LCに導入する。糖化ステロールの中には、同一分子量で構造が類似する異性体が含まれるが、脂質抽出効率が高い溶媒を用いた場合、LCで用いたカラムからの糖化ステロールの溶出力が高くなり、異性体の分離を達成できないことが判明した。抽出効率を保持しつつ異性体分離を達成できる溶媒の組み合わせを今後検討していく必要がある。従来の液液抽出法の改良では、抽出のスケールを最小限にし、低吸着性の容器を用いることで、マウス脳からレーザーマイクロダイセクションで回収した領域より1 mm2以内 (約1000細胞)の空間分解能で糖化ステロールの検出に成功した。糖化ステロールの発現パターンは、中脳、海馬、小脳、延髄でそれぞれ異なることが明らかになり、その発現パターンは、糖化ステロール合成の基質であるグルコシルセラミドやガラクトシルセラミドの発現パターンに一致することが明らかになった。
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Molecular Brain
巻: 未定 ページ: 未定