本研究では、鳥類精子において膜ラフトによる先体反応のシグナル伝達帰庫を調べ、さらにその成果を利用した動物生殖工学技術の開発に取り組み、以下の知見を得た。 ①細胞内カルシウムの制御は、細胞内pH、ミトコンドリア活性およびATPaseに作用することで精子休眠を促進し、結果的に長期受精能力保存を可能とする②長期保存期間に誘起される自発的先体反応は細胞内pHアルカリ化と細胞膜加水分解により誘導されることが分かった③精子膜ラフトに会合するタンパクの多くが雄生殖器道上皮層のルミクリンにより輸送されていることが分かった。またこれらの機能物質は、細胞膜へのアンカーあるいは電気的親和性を介して表面上に存在することも分かった。④体外実験により、先体反応誘起は精子に運動性の変化を生むことで、IPVL通過性の向上をもたらすことも明らかになった。
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