研究実績の概要 |
2020度は、当初の予定だと、2019年度に引き続きタスマニア大学(豪州)の共同研究先へ数か月滞在し、MIFEと呼ばれる電気生理解析技術の取得と実験データの蓄積に励む計画であった。しかしながら、世界的な新型コロナウイルスパンデミックの影響により、予定していた渡豪を実現することができなかった。 一方で、日本国内で進められる関連研究に関しては、一定の成果が得られた。栽培イネ日本晴(Oryza sativa)と野生イネ(Oryza rufipogon)の戻し交雑自殖系統群(BRILs)を利用して、塩ストレス下の若い完全展開葉身をモニターのターゲットとして、耐塩性の度合いに大きな影響を与えるNa, K, Ca, Mgの各元素の蓄積を支配する遺伝子座の絞り込みを継続させた。SIMおよびCIM法によるQTL解析の結果、前述の4元素に対し、概してそれぞれ2, 2, 2, 1か所のQTLを検出した。これらのQTLを保持し、かつ顕著な葉身への蓄積表現型を示すBRIL系統を2-3系統選抜した。残念ながら、2020年度に、それらの系統をMIFEによる解析に使用することはできなかったが、日本国内で推進し得る解析を更に進めている状況である。
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