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2020 年度 実施状況報告書

水産有用セミエビ類の種苗生産技術の基盤構築

研究課題

研究課題/領域番号 17KK0157
研究機関広島大学

研究代表者

若林 香織  広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (20725147)

研究期間 (年度) 2018 – 2021
キーワード種苗 / 養殖 / 摂餌生態 / 資源回復 / 幼生発育
研究実績の概要

イセエビ・セミエビ類は世界の熱帯・亜熱帯海域における水産有用甲殻類資源である。需要の急増に伴う過剰漁獲や沿岸域の開発に伴う生息場所の減少などが原因でイセエビ・セミエビ類の天然資源は減少しており、一部の地域では絶滅に近い状態に陥っている。一方、イセエビ・セミエビ類を産卵から成体まで人工環境下で安定的に生産する技術は整っていない。とくに浮遊幼生期の生態や発育を調節する仕組みについての知見が乏しく、着底種苗の生産がボトルネックとなっている。ウチワエビ類に関してはこれまで取り組んできた研究により、少数の種苗を確実に生産できる飼育技術を開発できたが、産業的な増養殖へと発展させるためにクリアしなければならないいくつかの課題も見つかった。
本研究では、大規模種苗生産の実現のためにセミエビ類の幼生の摂餌生態および発育メカニズムを解明することを目的としている。昨年度は、台湾の国立海洋科技博物館および国立台湾海洋大学との共同研究により、台湾においてはじめてセミエビ類の孵化幼生から稚エビまでの人工飼育に成功した。今年度は幼生の成長および生残の改善を目指した飼育試験を計画していたが、新型コロナウィルスの流行により台湾への渡航が制限され、渡航しての実験は叶わなかった。やむを得ず、予定していた実験の一部を国内で実施した。幼生のアンモニア態窒素に対する耐性を評価した結果、22-23℃、pH8の飼育環境において、オオバウチワエビ幼生の96時間半数致死量は6.9 mg/L (非解離アンモニアでは0.56 mg/L)であることが明らかになった。また、ウチワエビ類2種の初期幼生の光刺激に対する反応を調べた結果、他の十脚甲殻類の幼生で知られているように、強い光刺激には正の走光性を、弱い光刺激には負の走光性を示すことが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルスの流行により、台湾への渡航が制限され、2020年度は一度も渡航できなかった。そのため、相手先で予定していた実験はすべて延期となった。一部の試験は相手先と議論しながら日本国内で実施した。

今後の研究の推進方策

今年度までに得られたアンモニア態窒素耐性に関する成果は論文にまとめて公表する。また、光刺激に対する幼生の反応に関する試験は引き続き国内で実施する。
2019年度までに台湾で得ていた生物試料に基づく研究を実施するとともに、渡航を再開できれば現地での飼育試験(当初から計画していた栄養条件に関する実験)を実施する。

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公開日: 2021-12-27  

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