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2021 年度 実施状況報告書

水産有用セミエビ類の種苗生産技術の基盤構築

研究課題

研究課題/領域番号 17KK0157
研究機関広島大学

研究代表者

若林 香織  広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (20725147)

研究期間 (年度) 2018 – 2022
キーワード摂餌生態 / 資源回復 / 幼生発育 / 生態修復
研究実績の概要

イセエビ・セミエビ類は世界の熱帯・亜熱帯海域における水産有用甲殻類資源である。需要の急増に伴う過剰漁獲や沿岸域の開発に伴う生息場所の減少などが原因でイセエビ・セミエビ類の天然資源は減少しており、一部の地域では絶滅に近い状態に陥っている。一方、イセエビ・セミエビ類を産卵から成体まで人工環境下で安定的に生産する技術は整っていない。とくに浮遊幼生期の生態や発育を調節する仕組みについての知見が乏しく、着底種苗の生産がボトルネックとなっている。ウチワエビ類に関してはこれまで取り組んできた研究により、少数の種苗を確実に生産できる飼育技術を開発できたが、産業的な増養殖へと発展させるためにクリアしなければならないいくつかの課題も見つかった。
本研究では、大規模種苗生産の実現のためにセミエビ類の幼生の摂餌生態および発育メカニズムを解明することを目的としている。今年度も幼生の成長および生残の改善を目指した飼育試験を計画していたが、新型コロナウィルスの流行により台湾への渡航が制限され、渡航しての実験は叶わなかった。やむを得ず、予定していた実験の一部を国内で実施した。昨年度明らかにしたオオバウチワエビの初期幼生の走光性について、一日のうちの異なる時間帯で反応を調べた結果、0.03μmol/m2/sの光刺激に対しては日の出直後に負の走光性を、日中は正の走光性を示すことが分かった。このことは、同一の光刺激であっても、環境の明暗周期に応じて幼生の反応が変化することを意味する。また、オオバウチワエビの最終期幼生に異なる2種類の餌料を与えて飼育した結果、体内に蓄積する脂肪酸の組成が両者で異なることが分かった。一般に高度不飽和脂肪酸(PUFA)は魚介類の高成長を期待できる栄養素であるが、餌料に含まれるPUFA含量が大きいほど幼生の脂肪酸蓄積に有効であるとは必ずしも言えない結果も得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルスの流行により、台湾への渡航が制限され、2021年度は一度も渡航できな
かった。そのため、相手先で予定していた実験はすべて延期となった。一部の試験は相手先と議論しながら日本国内で実施した。

今後の研究の推進方策

今年度までに得られた幼生の走光性に関する成果は論文にまとめて公表する。また、ウチワエビ類幼生のクラゲ栄養利用に関する試験は引き続き国内で実施する。
渡航を再開できれば現地での飼育試験(当初から計画していた栄養条件に関する実験)を実施する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Impact of the acute ammonia toxicity on phyllosoma Stage I of a slipper lobster, Ibacus novemdentatus and its recoverability from the ammonia exposure2021

    • 著者名/発表者名
      Quan Nguyen Hong, Suzuki Kenta, Nogata Yasuyuki, Wakabayashi Kaori
    • 雑誌名

      Aquaculture Research

      巻: 52 ページ: 5452~5461

    • DOI

      10.1111/are.15415

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Choniomyzon taiwanensis n. sp. (Crustacea: Copepoda: Nicothoidae) Parasitic on the External Egg Mass of the Longlegged Spiny Lobster Panulirus longipes longipes (Crustacea: Decapoda: Palinuridae) from Taiwanese Waters2021

    • 著者名/発表者名
      Cheng Yu-Rong, Wakabayashi Kaori, Pan Yen-Ju
    • 雑誌名

      Animals

      巻: 11 ページ: 2475~2475

    • DOI

      10.3390/ani11082475

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2022-12-28  

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