研究課題/領域番号 |
17KK0158
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
井澤 武史 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (20580369)
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研究期間 (年度) |
2017 – 2019
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キーワード | メタボリックシンドローム / 肝疾患 / 薬剤性肝傷害 |
研究実績の概要 |
はじめに,ヒトの非アルコール性肝疾患(NAFLD)の病態を再現できる疾患モデル動物の作製および解析を行った.通常のマウス系統よりも,高脂肪食への感受性が高いことが報告されているC57BL/6NTacマウス(6週齢,雄)に総カロリーの60%が脂質由来となるように配合された高脂肪食を12週間不断給餌したところ,肥満(体重増加),耐糖能異常および肝細胞のびまん性脂肪化が認められた.よって,本疾患モデル(NTac-DIOマウス)の病態は,ヒトNAFLDと高い類似性を有することが示された. 続いて,NAFLDにおいて薬剤性肝傷害の感受性がどのように変化するかを調べるために,作製したNTac-DIOマウスおよび対照マウスに過剰量(150 mg/kg BW)のアセトアミノフェンを強制単回経口投与し,誘発される薬剤性肝傷害の病態を対照マウスと比較解析した.当初の研究仮説とは異なり,NTac-DIOマウスでは,対照マウスと比べて血清中の肝逸脱酵素値(AST, ALT)が低下し,組織学的な肝細胞壊死も軽減する傾向が認められた. 以上の結果より,若齢(18週齢)のNTac-DIOマウスでは,アセトアミノフェン誘発性肝傷害が軽減する可能性が示された.この肝傷害の軽減メカニズムを詳しく検証するために,ヒトNAFLDの好発年齢に合わせた中年齢(40~60週齢)のマウスを用いて,同様のアセトアミノフェン投与実験を実施中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要に記載した通り,当初の研究仮説とは異なる研究結果が得られた.そのメカニズムを追求するため,追加の動物実験を実施している.なお,この動物実験が完了するのが今年度末であり,研究課題の遂行には追加サンプルの解析実験や論文化のための期間が必要であることから,1年間の補助事業期間延長を申請した.
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今後の研究の推進方策 |
渡航期間が終了したため,申請者(日本)と受入研究者(米国)で直接のやり取りができなくなったが,Eメールやスカイプなどで密に連絡を取り合うことで,追加サンプルの解析実験,総括・考察,論文投稿など,円滑な研究計画の遂行に努める.また,追加の解析実験については,受入機関と国内の所属機関で分担して作業を同時並行で進めることで,研究計画の速やかな遂行を図る.
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