研究課題
林内外で同時観測した雨滴データを用いて、樹冠通過雨を直達・滴下・飛沫の3成分に分離する手法を確立し、これまでに取得したデータを総合して常緑針葉樹、広葉樹(着葉中)、広葉樹(落葉後)の成分比の違いを比較する原著論文を発表した。広葉樹(落葉後)は滴下成分が少なく直達成分が多かった。常緑針葉樹は、広葉樹(着葉中)に比べて、飛沫成分が多く、滴下成分の量が少なく粒径も小さかった。雨の降り始めからの時間変化では、常緑針葉樹は濡れが進行するに従い滴下雨の生成点が増えるため滴下成分が増加した。一方で、広葉樹(落葉後)は、濡れが進行すると、枝の半ばで生成されていた滴下雨は落下せずに枝の下方に滑るようになり、滴下雨が消失した。広葉樹(着葉中)はその両者の特徴を持ち合わせた。葉と枝とで濡れ方と滴下成分の作り方が違うことを明らかにした。2018年にアメリカのアメリカブナ林で観測した雨滴データを基に、着葉の季節変化に伴う樹冠通過雨の成分変化を検出した。葉が落ちるほど滴下成分の量は減少するが水滴粒径は大きくなり、枝からの滴下水滴のほうが葉よりも大きいことを再確認した。落葉期に近づくほど葉の撥水性が低下した。依頼していた雨水中に含まれる溶存態炭素の分析結果の入手が遅れ、質量分析と微生物分析が完了していないため、化学生物分析データの解析が遅れている。その間に、2004年に取得したタイのチーク林での樹冠通過雨の成分分離を行い、開空度や樹冠の重なりの違いによる樹冠通過雨の侵食能のばらつきが生まれる要因を明らかにし、共同編集書籍の章として発表した。
3: やや遅れている
依頼していた雨水中に含まれる溶存態炭素の分析結果の入手が遅れ、質量分析と微生物分析が完了していないため、化学生物分析データの解析が遅れている。
メールやWeb会議を通して、海外共同研究者との議論を継続し、収集データの解析と論文化を進める。
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Forest-Water Interactions
巻: 12 ページ: 279~298
10.1007/978-3-030-26086-6_12
Hydrological Processes
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10.1002/hyp.13565
http://www.ffpri.affrc.go.jp/research/saizensen/2019/20190426-01.html