共感様行動の1つと解釈できる観察恐怖学習に関わる分子・神経回路・行動機能について引き続き以下の解析を行った。 1)腹側海馬(vHPC)より入力を受ける内側前頭前皮質背側部(dmPFC)ニューロンの特徴と同ニューロンの出力部位の解析 2)dmPFC内パルブアルブミン作働性ニュー ロンの活動を光刺激によって抑制することによる観察恐怖学習の変化 3)オキシトシン作働性ニューロンおよびその投射部位とオキシトシン受容体発現ニューロ ンの分布解析 4)オキシトシン作働性神経終末の光刺激抑制による観察学習行動の変化 5) 観察恐怖によって活性化するニューロンの脳内分布の網羅的解析 6)中 脳水道周囲部灰白質(PAG)に投射するdmPFCニューロンの側枝分布の解析成果について以下列挙する。1)について:vHPCより入力を受けるdmPFCニューロンは、カルシウムカルモジュリンキナーゼII陽性細胞>パルブアルブミン陽性細胞> ソマトスタチン陽性細胞の順で分布が多く、dmPFCからの神経投射は扁桃体基底部(BA)、PAG、前障(CLA)、無顆粒島皮質(AI)に多かった。一方、dmPFCに出力する ニューロンはBA、CLA、AIおよびvHPCに多かったことから、BA、CLAおよびAIはdmPFCと双方向性に連絡しているもののvHPCはdmPFCに一方向性に投射していると考えられる。 3)について:オキシトシン作働性ニューロンの出力はdmPFC、 扁桃体ならびにvHPCで乏しく、腹側被蓋野およびPAGで顕著であった。この所見について論文を作成・投稿し、受理された。4)について:オキ シトシン作働性神経終末にハロロドプシンを発現させたマウスのdmPFCに光プローブを埋め込み、観察恐怖中のすくみ行動の変化を引き続き検討した。
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