研究課題
天然資源には、自然由来の放射性物質が含まれており、その利用によって外部被ばくおよび内部被ばくが引き起こされる。国際原子力機関(IAEA)は管理のための基準を設定しようとしているものの、自然放射性核種を多く含む金属鉱石については依然として規制の根拠となる被ばくに関する情報が乏しい。もし産業用で使用されている金属鉱石が高い放射能濃度を有していた場合、その利用によって意図せずに作業者や公衆が高いレベルで被ばくする恐れがあり、被ばくの実態の解明が急がれている。本研究は、自然放射性核種を多く含む金属鉱石による一般作業者や公衆の被ばくの実態を明らかにすることによって、不要な放射線被ばくリスクから作業者や公衆を護ることにつなげるものである。アジアには豊富な金属資源が眠っており、他の様々な先進国が支援して開発が進められている一方で、アジアの途上国ではそれによる放射線被ばくについて安全を守る思想が十分に培われていない現状がある。実測に関しては、国際的な問題をより喫緊の問題として抱えるアジア地域において現地機関(フィリピン原子力研究所)と共同研究することにより進める計画である。本年度は、共同研究先であるフィリピン原子力研究所担当者とともに昨年度実施して得られた空間線量率や線量評価に関するデータ等を現地研究者らとともに解析した。また、サンプルの調整も開始した。来年度以降も引き続きサンプルの調整や測定等を進める。
2: おおむね順調に進展している
現地調査を共同研究機関担当者と計画的に実施することができた。研究代表者の所属機関の異動により本研究の予定がずれ込んでいたが、昨年度研究期間を延長するなどの対応したことにより本年度問題なく本研究を遂行できた。
引き続き、実地調査で得られたデータや試料について解析や分析を実施する。コロナウィルスの影響でフィリピンに入国できない状態が続いているが、現地の共同研究機関と代表者所属機関の間で連絡を取り合いながら渡航の時期を探り、本研究を進める。
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Proceedings of 5th International Conference on Environmental Radioactivity
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