長鎖非コードRNAとは、タンパク質のアミノ酸一次配列情報をコードしないRNAの総称であり、ヒトゲノムからは数万種類の長鎖非コードRNAが生み出されている。近年、長鎖非コードRNAが遺伝子発現の制御を通じて多様な生理機能に関わっていることが判明してきた。長鎖非コードRNAは重要な生体分子であることから、疾患とも密接な関係がある。従って、長鎖非コードRNAの機能や発現制御を解明することは医歯薬学領域の発展に大きく貢献する。 本研究課題では、病原体感染によって発現するホスト細胞の核内長鎖ノンコーディングRNAを同定し、それらの機能解析と発現制御を解明する。 2018年度は、デンマーク王国オーフス大学のTorben Jensen教授と共同研究を渡航先で実施した。まず、サルモネラ感染したヒト培養細胞で発現が変動している長鎖ノンコーディングRNAのリストアップをバイオインフォマティックス解析により実施した。次に、Jensen教授が特定しているPROMPTなどの短寿命の核内長鎖ノンコーディングRNAの発現変動についても解析を行った。その結果、PROMPTの発現亢進を確認できた。さらに、サルモネラ感染で発現増加する複数の新規長鎖ノンコーディングRNAの同定にも同定できた。2019年度以降は、これらの長鎖ノンコーディングRNAの発現制御機構と病原体-ホスト相互作用の分子メカニズムの解明を進める。
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