研究課題/領域番号 |
17KK0181
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
門前 暁 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (20514136)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2020
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キーワード | がん骨転移 / 塩化ラジウム / 放射線内用療法 / 骨髄抑制 |
研究実績の概要 |
がん骨転移への対策は、分子標的治療をはじめ多方面からその克服のための研究や治験が進められており、最近放射線療法分野では、去勢抵抗性前立腺癌由来の骨転移がん対応として、アルファ線を利用した塩化ラジウムによる内用療法製剤が供給され始めた。この製剤は骨に集積する特徴を持ち、一定の疼痛緩和効果や延命効果が示されている一方、その抗腫瘍効果と副作用には個人差が顕著であり、特に骨髄抑制は代表者が進める臨床解析からもその状況が確認されている。これは骨髄微小環境において、転移巣と造血組織である赤色骨髄が集積する内用療法剤の近傍にあることから、アルファ線の物理特性や生物効果など複雑な影響を受けている可能性が考えられるが、その詳細については不明である。そこで本課題では、基課題(16K10339)をもとに、生物基礎研究のためにアルファ線照射システムを開発したストックホルム大学・放射線防護研究センターのWojcik研究グループらと共同研究チームを構成して、骨髄微小環境におけるアルファ線の影響評価モデルの確立と、代謝物に着目した抗腫瘍効果と骨髄抑制のバイオマーカーの特定、更にはその分子機構の解明を目的とした。3年度で計画する本課題の初年度は、共同研究者と詳細な実験打合せを電話及びEメールにておこない、8月及び9月に渡航して現地で実験準備を開始した。また、本研究課題は実験動物モデルを使用することから、渡航先施設にて動物実験倫理申請及び審査が実施された。この審査には修正など予想外に時間を要し、2019年2月に承認がおり、速やかに以下の実験を開始した。 ① 骨髄細胞中に含まれる造血細胞のアルファ線感受性の解析. ② 実験動物から採取された骨髄細胞を用いた骨分化特性の解析. 一方、渡航先にて倫理承認がおりるまで、国内の共同研究施設で対象患者の予後追跡といった臨床解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
渡航先共同研究者とのコミュニケーションも十分である上、患者解析を国内共同研究者とも進めつつ、かつ渡航先にて実験を開始することができたことから、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象患者及び基礎実験から得られる試料を用いて、所属施設及び渡航先を往来しながらバイオマーカー探索を詳細に進める。
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