研究課題/領域番号 |
17KK0181
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
門前 暁 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (20514136)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2022
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キーワード | がん骨転移 / アルファ線 / 代謝産物 / 去勢抵抗性前立腺癌 / 核酸 / 骨代謝 / 骨髄細胞 |
研究実績の概要 |
がん骨転移への対策は、分子標的治療をはじめ多方面からその克服のための研究や治験が進められており、とりわけ放射線療法分野では、去勢抵抗性前立腺癌由来の骨転移がん対応として、アルファ線を利用した塩化ラジウムによる内用療法製剤が近年利用され始め、その効果に注目されている。この製剤は骨に集積する特徴を持ち、一定の疼痛緩和効果や延命効果が示されている一方、その抗腫瘍効果と副作用には個人差が顕著であることを先行文献や代表者の解析で明らかになり、特に内用療法の継続を決定する重要因子の一つとして知られる骨髄抑制の発症においては、生命予後に深く関係するものの、その予測方法や作用機序の詳細は未だ不明である。代表者はがん転移巣と造血組織が局在する骨髄微小環境において、アルファ線の物理化学特性が生物学的効果に複雑な影響を与えていると考え、2019年度末に、渡航先であるストックホルム大学・放射線防護研究センターにてマウス新鮮骨髄細胞モデルを用いたアルファ線照射実験を進めたものの、新型コロナウィルスの感染拡大影響を受け、実験を中断して帰国した。渡航が困難であった2年度間、これまで収集したサンプルを用いた骨髄サンプルの核酸代謝分析及び臨床症例解析を主に進めた。具体的な内容を以下に示す。 ①これまでに回収された、アルファ線に曝された骨髄細胞から分化誘導した骨芽細胞サンプルは、分化マーカーレベルで発現が確認され、特異な発現を有することが確認された。②アルファ線に曝された骨芽細胞を含む集団より放出される核酸代謝物の解析のための事前解析を行った。③対象症例患者の血清骨代謝マーカーの分析より、延命されている患者に特徴的なマーカー変動を確認した。 以上①~③までの解析を進めたものの、コロナ禍の影響により所属施設からの渡航許可がおりずアルファ線を用いた追実験ができないことから、次年度に渡航計画を立てることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、相手先への渡航が代表者の所属する施設で制限されているため、相手先施設での実験を中断している。
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今後の研究の推進方策 |
アルファ線に曝された骨髄細胞から骨芽細胞を誘導するための培養システムを、渡航先にて課題遂行2年度目までに構築したものの、培養途中で新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け中断した。2020年度及び2021年度は渡航できなかったため、2022年度に延長して再度渡航先施設との滞在計画、実験計画を立てる。
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