研究課題
近年、がん免疫療法は第四の治療法として注目されているが数多くの問題を抱えている。本研究課題ではT細胞に対してCRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いた非ウイルス遺伝子導入技術を開発し、1 STEPで抗原特的T細胞を作成し、その細胞の有効性を評価することで、免疫細胞療法の基盤技術を構築することを目的とした。令和2年度、米国における新型コロナウイルス感染の拡大により、米国共同研究先での研究活動が大幅に制限されたが、令和元年度に海外共同研究先とともにT細胞用高効率遺伝子導入mRNA LNPの技術を開発し、CAR遺伝子、T細胞疲弊抑制関連遺伝子を封入したmRNA LNPを開発した。また、これらのLNPをヒトCD8(+)T細胞に添加することで簡便にCAR遺伝子、T細胞疲弊抑制関連遺伝子を高効率で遺伝子導入できることを確認した。さらにはPD-1ゲノム編集LNPとの共遺伝子導入によりPD-1(-)CAR(+)ヒトCD8(+)T細胞を得られることを確認した。一方、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、共同研究先でのCOVID19関連研究以外の研究活動が制限されたため、本ゲノム編集mRNA LNP技術を応用し、ヒト肺上皮細胞においてSARS-CoV-2 RNAウイルスゲノムを特異的かつ高効率で分解できるanti-SARS-CoV-2 LNPsを開発した。令和3年度、開発したanti-SARS-CoV-2 LNPsのSARS-CoV-2ウイルスに対する効果をヒト肺上皮細胞、レポーターマウスモデル、SARS-CoV-2感染ヒト肺オルガノイドモデルを用いて検証した結果、非常に高い効率でSARS-CoV-2ウイルスを除去できる結果を得た。また本anti-SARS-CoV-2 LNPsはウイルスゲノムの変化に対応できるように設計してあり、実際に複数の変異株の感染を高効率で抑制できることを明らかにした。
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