研究課題/領域番号 |
17KK0190
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
村田 航志 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (10631913)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2020
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キーワード | 神経科学 / 嗅結節 / 腹側淡蒼球 / 腹側線条体 |
研究実績の概要 |
食べ物の香りや風味はおいしさをつくるが、腐敗物の臭いは不快感をつくる。また、納豆のような発酵食品の匂いは、食経験の有無によって好き嫌いがわかれる。嗅覚によって形成される快不快情動は動物に適応的な行動を促し、また過去の経験は匂いへの情動形成に適応的に影響するが、その神経メカニズムはよくわかっていない。 申請者はこれまでの研究で、過去の経験に応じた匂いの快不快情動の形成に関わりうる脳領野として嗅結節を見出した。嗅結節の主要な軸索投射先は腹側淡蒼球である。嗅結節および腹側淡蒼球の神経活動が実際に快不快情動を形成するかどうか、また部位と細胞種ごとにその機能が異なるかどうかはまだわかっていない。そこで本研究課題では、嗅結節および腹側淡蒼球が快不快情動の形成に関わるかどうかをラットを用いたオプトジェネティクスと行動薬理学実験により検証する。快不快情動の測定には、場所嗜好性試験、摂食・防御行動反応試験、味刺激反応試験を用いる。共同研究者のKent Berridge教授は嗅結節とともに腹側線条体を構成する側坐核を中心に、ラットの行動薬理学実験による快不快情動形成の神経メカニズムを長年研究している。本共同研究を通じて、嗅結節と腹側淡蒼球の機能を新たに明らかにする。 2019年度はBerridge研究室にて嗅結節の行動薬理学実験を行った。ラット嗅結節の薬剤処置により動物の摂食量および味刺激への嗜好・嫌悪反応が変化することを観察した。また色素トレーサーとウイルスベクターを用いた神経路標識実験により、嗅結節-腹側淡蒼球の接続様式を可視化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、2019年度は3ヶ月弱の滞在を行った。現地での動物実験者の登録手続きを終え、ラット行動薬理学実験の手技を習得した。帰国後は所属研究室にて実験を再開している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き嗅結節の行動薬理実験とオプトジェネティクス実験を行い、摂食行動を通じて快不快情動形成への嗅結節の関与を検証する。嗅結節-腹側淡蒼球の神経路標識実験を併行して進め、神経解剖学的な接続様式を明らかにする。
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