研究課題/領域番号 |
17KK0191
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
玉田 宏美 名古屋大学, 医学系研究科, 学振特別研究員(PD) (60712817)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2019
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キーワード | Cryo-fixation / 高圧クライオ固定 / 三次元微細構造 / 電子顕微鏡 |
研究実績の概要 |
本研究課題の基課題では、消化管機能制御機構の不明点を明らかにするため、集束イオンビーム走査型電子顕微鏡(FIB/SEM)を用い、腸管グリア細胞(EGC)などの三次元微細構造の形態解析を目指している。特に、中枢でよく知られている、シナプス結合前膜-後膜-グリアの三者間シナプス構造と呼ばれる機構が腸管神経系にも存在するのかに注目し、特定の神経線維や受容体を標識した上での電顕解析が効率的な解析に必要であると考えられた。また、注目している構造では特に細胞外間隙の形態の維持が重要である。そこで、GFPなどの標識蛍光の維持およびよりnative な形態の維持を担保するため、従来のアルデヒド固定を用いない高圧凍結固定cryo-fixation を施した組織での3D 電顕解析法の確立を目的とし、神経組織での3D 解析およびcryo-fixation を先駆的に進めている海外研究者との共同研究を行った。 具体的には、マウスなどの生体組織に対するcryo-fixationの適用は未だほとんど報告がないため、マウス脳組織を用いて最適な固定法改善に取り組み、さらに、三次元電子顕微鏡解析、得られた形態データの定量解析法など、最新の方法を取り入れた解析手法確立のための共同研究を行った。その結果、樹状突起スパイン頸部の形態において、従来のアルデヒド固定とcryo-fixationとの間に差が見られ、定量化の結果、有意差も見られた。ここで得られた定量データを基に、スパインをケーブルとして見做した際のその部位の電気抵抗を算出し、生体での機能をより近く反映しうるデータであることを示唆した。本研究内容は、研究会にて発表したとともに、現在論文投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生体組織での適用がまだあまりなされていない方法であるため、この分野のパイオニアである研究者との共同研究で最適な方法を模索し、研究成果をまとめるに至っている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究で明らかになった改善点を参考にし、さらに腸管組織の特性への適用も勘案し研究を進めると共に、得られた形態データから新たな機能を見出せた場合、生理学分野の研究室との共同研究の展開も期待している。
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