研究課題/領域番号 |
17KK0191
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
玉田 宏美 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (60712817)
|
研究期間 (年度) |
2018 – 2020
|
キーワード | Cryo-fixation / 高圧クライオ固定 / 三次元微細構造 / 電子顕微鏡 / スパイン |
研究実績の概要 |
本研究課題では、最新電子顕微鏡Focused Ion Beam / Scanning Electron Microscopy (FIB/SEM)を用いて、腸管グリア細胞の三次元微細構造を理解しようとするもので、その研究加速のため、従来の標本作製法を見直し、よりネイティブな形態の維持が期待される高圧凍結固定Cryo-fixation法の検討を国際共同研究として行ったものである。これまでに、従来の化学固定とCryo-fixationによる比較をマウス脳を材料として行い、神経細胞のシナプス結合の形態、特にスパインの形態を指標として検討を進めた。その結果、Cryo-fixationでは、従来の化学固定では消失してしまっている可能性が考えられる細胞間隙が維持され、極めて細いスパインネックの形態も維持されることなどがわかった。その実測値から導き出される電気抵抗を算出し、生体内での電気生理的機能をより反映する形態データである可能性を示してきた。本年度はさらに、より詳細にシナプス結合の生理機能を反映する形態的要素として考慮すべきものとして考えられる、スパインネック内の小胞体などの細胞小器官の存在について解析を行い、それらとスパインの形態的パラメータの相関について、従来の化学固定とCryo-fixationとの間で比較検討を行った。本研究の結果が、従来の研究手法で課題とされてきた問題の解決につながるものと考えられる。 本研究成果は学会発表を行い、セッション内での最優秀演題として評価された他、現在原著論文として論文投稿中である。またプロトコールに特化した学術誌への投稿のリクエストを受け準備中である(プレプリントデータベース”bioRxiv”には既に掲載済みである。 (doi: https://doi.org/10.1101/2020.03.02.972695)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高圧凍結固定Cryo-fixationのプロトコールの更なるブラッシュアップを進めた他、得られた画像データに基づき、新たな形態解析、定量評価を進め、論文投稿に至っている。
|
今後の研究の推進方策 |
基課題との関連にさらにつなげるため、光-電子顕微鏡法(Correlative- Light - Electron Microscopy : CLEM法)とCryo-fixationとを結びつける方策について検討する。
|