この研究ではACL損傷に合併した外側半月板損傷に対する縫合術と修復術の回旋不安定性及び再建靭帯への力学的負荷を関節力学試験ロボットシステムを用いて評価・比較することを目的とした。当初実験開始までの手続きが滞っていたが、2019年度には実験を施行することができ、8膝を用いて関節力学試験を行った。その際に収集したデータの解析をPittsburgh大学のEngineerに協力を仰ぎながら進めていった。しかし、2020年以降コロナ感染拡大を原因として実質的に渡航が不可能の状態が続いた。Pittsburgh大学とのデータ共有や連絡は続けていたものの、実際のロボットを用いた検証実験の遂行が困難なであった。当初実験計画で予定していた20膝に対して不足するデータの補完方法を検討し、2023年度には電磁気センサーを使用した膝運動動作解析を行い、上記の実験結果の検証を行う事を試行した。しかしシステム構造の違いもあり、検証困難な状態が続いている。サンプル数としては不十分な状態ながらも検出できた結果としては、ACL損傷に外側半月板損傷を合併した場合にはACL再建術単独では回旋不安定性は十分な回復が得られず。半月板縫合術を追加することで回旋不安定性が正常レベルまで回復できていた。また、半月板縫合術が不可能な場合に外側腱固定術を追加することでも回旋不安定性の正常レベルへの回復がみられていた。以上の結果は研究機関全体を通じて3つの国際学会で発表することができている。
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