研究課題
PXBマウスの解析で得られた細胞内遺伝子発現変化が、HBVの直接的な作用であることを確認するため、PXBマウスの肝組織を用いて作製された初代培養ヒト肝細胞(PXB細胞)に前解析で用いたHBVとは別のHBVクローンを感染させ、解析を進めた。HBV遺伝子発現を行う前にPXB細胞へのHBV感染率およびウイルス動態を解析したところ、培養上清中のHBV DNAはmultiphasicな動態を示し、PXBマウスの解析で認められたウイルス動態に類似していた。本動態に関しては、現在もDr. Dahari、Dr. Uprichard、Dr. Dubeyとともに数学的なモデリングによる解析を実施中である。また、遺伝子解析については、感染12日までの細胞への感染効率が2.5%と低かったことから、十分な遺伝子発現変化が観察できないと考え、現在、single cell sorting等を用いた解析への移行を検討中である。また、HBV遺伝子型による遺伝子発現プロファイルへの影響を解析するため、HBV遺伝子型A感染マウスを作製し、遺伝子発現プロファイルを取得。HBV遺伝子型C感染マウスの肝組織を用いた遺伝子発現解析結果と比較した。HBV遺伝子型Aおよび遺伝子型C感染により、それぞれ780、208遺伝子が発現制御を受け、発現制御レベルはHBV遺伝子型により異なることが明らかとなった。特に、HBV遺伝子型C感染マウスでは、Wnt signal pathwayやOxidative stress pathwayがHBV遺伝子型A感染時よりも強く誘導を受けることが明らかとなり、HBV感染後の細胞内応答は、HBV遺伝子型により異なり、この細胞内応答の相違が臨床経過や治療反応性に関与している可能性が示された。本研究成果は、Journal of Gastroenterologyに報告した。
すべて 2019 2018
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
Scientific Reports
巻: 9 ページ: 8462
10.1038/s41598-019-44934-5
消化器・肝臓内科
巻: 6 ページ: 271-278