基盤研究(C)の研究課題である新生児・乳児におけるzymonsanのワクチンアジュバントとしての有用性・機能を検証するために、カリフォルニア大学サンディエゴ校において共同研究を行った。カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームとの議論の中で、同研究センターが備えている最先端のミトコンドリア機能解析システムとノウハウに着目し、抗原提示細胞である樹状細胞のミトコンドリア機能に与えるzymosanの役割について検索を進めた。マウスの骨髄細胞から分化させた樹状細胞にzymosanあるいはLPSを添加し16時間培養し、樹状細胞のミトコンドリアの呼吸機能をFlux analyzerを用いて解析したところ、LPSは時間の経過とともにミトコンドリアの呼吸機能を阻害したのに対して、zymosanは16時間後まで経時的に呼吸機能を阻害せず維持することがわかった。これまでの基盤研究(C)での成果から、zymosanは新生児の抗原提示細胞の抗原提示機能やサイトカイン産生を効果的に増強することがわかっているが、そのメカニズムの一つとして、zymosanが抗原提示細胞のミトコンドリアの呼吸機能を阻害せずに細胞機能の効果的な維持・増強に働き、抗原提示機能の増強に寄与し免疫増強効果を発揮しているのではないかと考えられた。本国際共同研究によって、新生児・乳児に特化したワクチンアジュバントとしてのzymosanの有用性に関する基礎的メカニズムの基盤を構築することができた。今後、臍帯血から分離した単球や樹状細胞のミトコンドリアを対象にしたzymosanの機能についても検討する予定である。
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