本研究においては①担持金属ナノ粒子の酸化還元挙動,②Oxygen Storage and Capacity (OSC)材料の構造変化,③合金ナノ粒子の超微量貴金属添加効果を検討し,各反応でオペランドXAFS測定を行う計画であった.2017年度から2018年度においては①の触媒反応に対して検討を行い,③の触媒反応の立ち上げに着手した.2019年度においては(過去2年間の研究実績の概要の年度は間違っており,正しくは2017,2018年度),②および③について検討を行うため,2018年度に着手した「合金ナノ粒子によるCO2の水素化」を引き続き検討した.各反応において,Phase 1:実験室内で行うことが可能な事項の調査と検討,Phase 2:構造変化速度論解析に必要なXAFSスペクトルの測定,Phase 3:反応速度論解析と構造変化速度論解析の結果の比較を行うとしており,これに従って検討を進めた. 孤立Pt種を有するNi-Pt合金触媒のCO2のメタン化機構についてin situ赤外分光計測及び反応速度論を用いて検討した.その結果,孤立Pt種のCO吸着及びH2解離に対する二元機能により高選択的かつ高効率なCO2のメタン化特性が発現したことを明らかにした.Ni-Pt合金触媒上でのCO吸着種の脱離挙動の検討から,孤立Pt種がCOの吸着サイトとして機能したために,高い選択率でCH4が生成したと結論した.また,これまでに構築した大型放射光施設SPring-8の共用ビームラインBL01B1におけるOperando XASシステムをDRIFT-IRと組み合わせることによって反応速度論を展開し,Pt種の高いH2の解離特性によりNi触媒の律速段階である表面C種の水素化が促進される一方で,孤立Pt種がCOの吸着サイトとしても機能するため,H2解離へと律速段階が移行するメカニズムを提案した.
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