研究課題
体内には様々な器官が3次元に配置されている。また、それぞれの器官自体も3Dの構造を持っている。しかし、複雑な形態が個体差なく作られるしくみの理解は遅れている。本研究では、オタマボヤ(Oikopleura dioica)をその系として、7時間の間に起こる消化管の形態形成とその構築原理を解明することを目的とした。この系は解析に値する充分な複雑さを持つが、他の動物の消化管形成に比してとても単純化された系である。全ての過程は7時間程度で完了する。昨年度は、孵化直後の幼生(内臓形成前、受精後3時間)と体が完成した幼若体(内臓形成完了時、受精後10時間)の形態を細胞レベルで詳細に把握するため、ブロックフェース走査型電子顕微鏡 (SBF-SEM) を用いて、それぞれ約2000枚の連続横断面画像を取得し、3D画像再構築と3D動画作成を体全体と各臓器ごとにおこない体幹の臓器の構造と細胞構成を明らかにした。全ての細胞の核をトレースし、各臓器の構造を細胞レベルで明らかにすることができた。その結果から、体幹部の詳細な構造が細胞レベルで理解できたと共に、幼生の形態形成過程ではたった数回の細胞分裂を経て、機能的な器官が誕生することがわかった。この成果は、ライブイメージングを用いて形態形成過程における細胞の挙動を分析するのに役に立つ基礎的データを提供することになる。この成果をコミュニティーが利用できるようにするため、至急、論文を作成し出版した。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Devevalopmental Biology
巻: 481 ページ: 188-200
10.1016/j.ydbio.2021.10.009
Dev. Growth Differ.
巻: 64 ページ: 67-82
10.1111/dgd.12769
Zoological Science
巻: 38 ページ: 26-35
10.2108/zs200128
Scientific Reports
巻: 11 ページ: 4833
10.1038/s41598-021-83706-y
Frontiers Cell Dev. Biol.
巻: 9 ページ: 700827
10.3389/fcell.2021.700827
https://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/bio_web/lab_page/nishida/index.html