研究課題/領域番号 |
17KT0032
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
佐藤 清隆 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (30311319)
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研究分担者 |
C・R Parsons 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (10334616)
SHRESTHA N.P. 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (10647316)
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研究期間 (年度) |
2017-07-18 – 2022-03-31
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キーワード | 国際産業連関表 / アジア経済統合 / カーボンリーケージ / 輸出競争力 / 国際価値連鎖 / 為替レート制度 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、①新しい国際産業連関表 (YNU-GIO Table) を更新・拡張し、②アジア統合下での「競争」「成長」「環境」の経済分析を行うことを目的としている。横浜国立大学アジア経済社会研究センターは、2014年よりアジアの主要11か国を含む独自の国際産業連関表(YNU-Global Input-Output Table: YNUGIO)、すなわち内生国29か国(アジア11か国を含む)、外生国60か国を広範にカバーした1997年~2012年までの年次データを同センターのウェブサイト(http://www.recessa.ynu.ac.jp)で公表している。2018~2020年度はこのYNU-GIO Tableの拡張策の一つとして、実質表の構築に取り組んできた。内生国の産業別物価データを用いて基礎データの構築を進め、実質表が完成に近づいている。2021年度に同データ構築作業を完了し、ウェブサイトでデータベースを公開する予定である。 上記の研究の基盤となるデータ構築に加えて、本研究課題は個別の研究テーマにおいても研究を進めてきた。アジア諸国の貿易と為替変動に関する研究論文を査読付き国際学術雑誌に掲載した。また、アジア諸国の為替政策に関する研究論文を経済産業研究所のDiscussion Paperとして公表した。2018年度からスタートしたProf. Donald Lien (University of Texas at San Antonio)との国際共同研究「日本語教育の国際的な普及と日本の国際貿易」についても、実証分析を進めてきた。 このように研究期間の4年目も着実に研究成果をあげたが、コロナ禍で国際共同研究が当初の予定通りに進まず、データベース構築にも若干の遅れが生じた。研究期間を1年間延長し、2021年度に研究成果を取りまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の基盤となる国際産業連関データベース構築作業を進めており、実質表の作成も2021年度中に完成する予定である。国際的に評価の高い査読付き学術雑誌(North American Journal of Economics and Finance)に論文を掲載し、経済産業研究所のRIETI Discussion Paper として論文を1本公表した。University of Texas at San Antonioの研究者とも国際共同研究を進め、実証研究のためのデータ構築と分析作業も進めている。また、経済産業研究所、中国社会科学院とも定例の国際ワークショップRIETI-IWEP-CESSA Joint Workshop(2020年12月)をオンラインで共同開催し、アジアの国際通貨・金融問題に関する討論を行った。同国際ワークショップで連携したのは、国内外で高い評価を受けている研究機関であり、引き続き研究連携を深めていく計画である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度は、研究の基盤となるデータベース構築を完了し、ウェブサイトで実質ベースの国際産業連関表のデータベースを公開する予定である。また、本研究課題は、海外の大学、研究機関、研究者と連携して国際共同研究に取り組み、国際シンポジウム等の開催を通じて具体的な研究成果の発表を行うことを計画しているが、2020年から急速に拡大した新型ウィルスの世界規模での感染によって、海外の研究者を招聘する、あるいは日本側の研究者が海外のシンポジウムや学会に参加することが困難になっている。 世界全体にウィルス感染が拡大し、どの時点で終息するかが見通せない中、海外の研究者とはオンラインでの共同研究を継続するとともに、国際シンポジウムもオンラインで実施するなどして研究成果の発表と討論を重ね、最終的には国際的な査読付学術雑誌に研究論文を投稿する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額(2,609,249円)が発生したが、これは新型ウィルス感染の世界的な拡大の影響である。2020年度に予定していた国際シンポジウムは開催が困難となり、オンラインでの国際シンポジウムを1件開催するだけにとどまった。また、海外の学会に参加することを事前に計画していたが、学会の開催そのものが延期になるなど、旅費の支出計画が大きな影響を受けた。データベース構築作業についても研究補助の大学院生を雇用してデータ入力・処理作業を進めてきたが、大学への立ち入り禁止措置が続くなどしたため、当初の予定ほどは作業が進まなかった。2021年度は主としてデータベース構築のための費用として次年度使用額を活用し、データベースの完成とウェブ公開を確実に行う予定である。
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