研究課題/領域番号 |
17KT0035
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
手塚 哲央 京都大学, エネルギー科学研究科, 名誉教授 (60163896)
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研究分担者 |
尾形 清一 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (60622991)
マクレラン ベンジャミン 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (10723455)
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研究期間 (年度) |
2017-07-18 – 2023-03-31
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キーワード | 再生可能エネルギー / 限界費用ゼロ / 国際協力 / ASEAN / 制度設計 / シミュレーション実験 |
研究実績の概要 |
本研究では、限界費用ゼロである再生可能エネルギーが普及したASEAN諸国とそれを取り巻く日中韓3国との間の経済協力(ASEAN+3)がもたらす影響を分析する枠組みを構築し、さらに各国の政策担当者を含めたシミュレーション実験により各国の政策と協力効果との関係を体験学習することを目的とした。 ただし、研究途中における新型コロナウィルスの世界的な感染により国際渡航困難な状況が続いたために、上記計画後半の各国の政策担当者を含めたシミュレーション実験は断念せざるを得なくなった。そこで、研究目的を各国の政策設定と国際協力効果との関係分析のためのシミュレーション実験開発環境の構築に変更した。最終的に生じた少なからぬ額の研究費の返還は国際集会が開催できなかったことによるものである。なお、得られた結果は、容易に政策担当者を含めたシミュレーション実験に拡張可能である。 最初に、限界費用ゼロエネルギーが基幹エネルギーとなったエネルギー市場において必要となる市場制度について検討を行った。理論的分析とシミュレーションモデルによる検証の結果、従来の市場取引制度はうまく機能しないこと、望ましい需給バランスを実現するためには、需要家のエネルギー消費から獲得する効用をステークホルダー間である程度共有することが必要であること等が示された。 また、ASEAN+3の諸国の経済協力の影響分析には、産業連関表を用いた複数国のエネルギー経済モデルによる各国の政策分析環境を構築し、協力の条件を変えることによる協力の効果の変化の様子を定量的に分析した。 最後に、再生可能エネルギーがエネルギー需給の中心となった状況の検討を行い、再生可能エネルギーの取引の媒体となる水素やメタンなどの長期貯蔵可能なエネルギー媒体の取引市場の制度設計が特に発展途上にある再生可能エネルギー供給国にとって重要であることが、半定量的に示された。
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