研究課題/領域番号 |
17KT0037
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
影山 純二 明海大学, 経済学部, 教授 (50337490)
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研究分担者 |
佐藤 一磨 拓殖大学, 政経学部, 准教授 (10620544)
寺村 絵里子 明海大学, 経済学部, 教授 (70598870)
萩原 里紗 明海大学, 経済学部, 講師 (40754362)
松浦 司 中央大学, 経済学部, 准教授 (50520863)
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研究期間 (年度) |
2017-07-18 – 2021-03-31
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キーワード | 価値観 / 選好 / subjective well-being / グローバリゼーション |
研究実績の概要 |
グローバリゼーションの結果、価値観がどう変化していくかという観点から、引き続き国際比較を中心に選好等に関する研究を行なっている。特に良質のパネル・データ・セットが得られた日本、台湾、韓国、アメリカ、中国といった国々の比較といった面で大きな進展が見られた。そのうちの一つは、グローバリゼーションや経済発展が儒教的価値観をどう変化させていくかという観点から行った研究である。日本、韓国、台湾で男児選好を例にとって比較研究し、経済発展とグローバリゼーションによって儒教的価値観が減退していくことが確認された。この結果を含む日台の比較研究は、本科研の研究分担者の一人が中心となり整理し、書籍として出版予定である。また、肥満に対する考え方については、アメリカと中国で比較研究し、その意味合いが異なることが確認された。 一方、ワールド・バリュー・サーベイを用いた研究では、「何を重要に思うか」という調査項目に着目し、まずそれがグローバリゼーションに伴ってどう変化するか研究を開始した。この「何を重要に思うか」という調査項目は、今までほとんど研究されておらず、価値観を国際比較する上でも、またグローバリゼーションの価値観に対する影響を考察する上でも、今後有用な情報になると思われる。現在はこの調査項目の有効性を確認するという視点から、「何を重要に思うか」を利用して、出生行動を予測できるか分析した。この結果、仕事と家族という項目に加え、余暇を重要に思う価値観が出生率と負の相関をしていることが明らかになった。このことは、ワーク・ライフ・バランスを考える際に、仕事と家族を両立させるだけでなく、余暇と家族(子育て)を両立させることが、少子化対策として必要なことを示している。この研究に関しては、今後、国際比較や時系列変化という観点を取り入れ、グローバリゼーションとの関わりについて考察していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学会報告を含め、研究成果は着実に積み上がっている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き個別テーマに関する研究を進めるとともに、今までの研究を総括するという視点から、グローバリゼーションと価値観の関係を整理していきたい。特に日本、台湾、韓国といった東アジア儒教圏に置いて比較可能な良質なパネル・データが入手できたので、儒教的価値観がグローバリゼーションとともにどう変化してきたか、実証的に分析していきたい。そして同時にその結果を用いて、グローバリゼーションが世界的な価値観の均一化に繋がるか、考察していきたい。 その一方で現在課題となっているのが、新型コロナ・ショックのため、国際学会への参加が大きく制約されることである。このことは、データの入手や整理といった側面から考えると、マイナスの影響がある。例えば、台湾のデータはISQOLSや台湾人口学会などを通じて知り合った研究者に協力してもらい利用可能となったものである。この点に関しては、代替手段を講じるよう考えていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に予定していたオーストリア出張が新型コロナの関係で取りやめとなった。また出版に関わる英文校正が翌年度に持ち越しとなった。この費用は、2020年度に同目的で使用する計画である。
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