研究課題/領域番号 |
17KT0037
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
影山 純二 明海大学, 経済学部, 教授 (50337490)
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研究分担者 |
佐藤 一磨 拓殖大学, 政経学部, 准教授 (10620544)
寺村 絵里子 明海大学, 経済学部, 教授 (70598870)
萩原 里紗 明海大学, 経済学部, 准教授 (40754362)
松浦 司 中央大学, 経済学部, 准教授 (50520863)
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研究期間 (年度) |
2017-07-18 – 2024-03-31
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キーワード | globalization / values / subjective well-being / happiness / satisfaction / fertility / work-like balance / parochial altruism |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、グローバリゼーションの結果、価値観がどう変化していくかという観点から、価値観や考え方の国際比較や時系列変化について分析を行なっている。その中で、"Junji Kageyama and Eriko Teramura (eds.), Perception of family and work in low-fertility East Asia. Publisher: Springer, Population Studies of Japan." が2023年度中に出版予定となった。 本書では、グローバリゼーションの結果として、東アジアにおける子育てや仕事に対する認識がどのように変化しているか、主観的ウェルビーイングのデータを用いて分析を行なった。この結果、東アジア一般の傾向として、女性が子育てや仕事を大きな負担と感じていることが明らかになるとともに、国によってはその傾向がグローバリゼーションの進展とともに悪化していることがわかった。この結果は、東アジアにおける超少子化の進展と整合的であり、少子化克服という観点からは女性に対する負担軽減が重要なことがわかる。なお本書においては、本科研参加者の萩原、影山、松浦、佐藤、寺村がそれぞれ論文を執筆している。 また「偏狭性 (parochial altruism)」に関する研究も進めている。この結果、偏狭性が国によって異なり、社会状況や個人的属性に関連していることもわかった。またコロナ禍によるグローバリゼーションの逆流が偏狭性を強めたことも明らかとなった。この研究は論文としてまとめてあり、現在学術雑誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来、論文として発表していた成果の一部を、書籍として体系的な形で仕上げ、成果に加えることができた。また偏狭性についても、その一部成果を論文としてまとめた。コロナ禍で遅れが出ていたものの、その遅れを取り戻したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2つの作業を行う。1つは、論文として発表している成果を整理することである。特に家族に関する考え方についての研究は蓄積している。もう1つは偏狭性に関する研究を進展させる。この研究は、グローバリゼーションが進展する上で、人々がどう海外の価値観を受け入れていくか、その土台を分析するものであり、非常に価値が高いと思われる。特に日本では偏狭性が強い傾向が示されており、それが日本のグローバリゼーションを妨げている可能性がある。時間は限られているが、本研究を本科研課題の重要事項の1つとして進展させるつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
英文校正費用を節約できたとともにその一部を翌年に持ち越したため。2023年度に英文校正費用として利用するとともに、残額が生じた場合は国際学会参加に利用する予定である。
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