研究課題/領域番号 |
17KT0050
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
小泉 桂一 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 准教授 (10334715)
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研究分担者 |
奥 牧人 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 特命准教授 (30633565)
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研究期間 (年度) |
2017-07-18 – 2021-03-31
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キーワード | 未病 / DNB / 超早期の遺伝子変化 |
研究実績の概要 |
昨年度までに、以下2つのメタボリックシンドロームマウスに関して、2種類の情報・数理学的な解析方法で「未病」状態を捉える試みを行った。 1. メタボリックシンドローム自然発症マウスに対して、DNB解析を行うことで、「未病」状態のタイミングが5週齢で確認された。さらに、このDNB遺伝子は、約147個で構成されていることが明らかになった。今年度、この147個の遺伝子の関連性をGOおよびKEGG パスウェイにより解析した。その結果、GO解析では、炎症反応、免疫反応、細胞接着、ERK1/2カスケード、遊走の関与が、およびKEGG パスウェイ解析では、サイトカイン作用、神経活性化ライガンド作用、ケモカインシグナル、ファゴソーム、補体ー血液凝固系の関与が示唆された。さらに、漢方薬である防風通聖散がこのDNB遺伝子のゆらぎを低下させることも明らかとなった。 2. 高脂肪食摂餌によるメタボリックシンドローム発症マウスに対して、超早期の発現変動遺伝子解析を行うことで、「未病」状態のタイミングが3日目で確認された。さらに、脂肪組織において酵素Xの発現が上昇していることが明らかになった。今年度、高脂肪食摂餌によるメタボリックシンドローム発症マウスに対して、酵素Xの阻害剤を投与したところ、顕著な抗肥満効果が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究において、メタボリックシンドローム自然発症マウスにおいて、「未病」状態を表現するDNB遺伝子群の役割を明らかにすることができた。また、防風通聖散の作用機序として、DNB遺伝子のゆらぎの低下が示唆された。さらに、高脂肪食摂餌後の超早期の段階において、「未病」状態を規定する遺伝子Xの阻害剤は、新たな抗肥満治療薬になり得ることが示唆された。これらの結果より、本研究は順調に開始できたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
「未病」規定因子の生物学的な役割の解明:細胞実験および遺伝子改変マウスを用いて、「未病」規定因子の生物学的な役割を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、阻害剤を受託合成で行う予定であったが、自身の大学で合成できたため。
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