研究課題/領域番号 |
17KT0050
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
小泉 桂一 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (10334715)
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研究分担者 |
奥 牧人 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 特命准教授 (30633565)
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研究期間 (年度) |
2017-07-18 – 2022-03-31
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キーワード | 未病 / DNB / 超早期 / 創薬 |
研究実績の概要 |
1. メタボリックシンドローム自然発症マウス_DNB解析 今年度は、これまでの研究成果のまとめとして、その内容を論文化することができた。Identifying pre-disease signals before metabolic syndrome in mice by dynamical network biomarkers. Keiichi Koizumi, et al., Scientific Reports., Sci Rep. 2019 Jun 24;9(1):8767.すなわち、本研究において、DNB理論を用いることにより、二千数百年来の概念であった未病、特に、メタボリックシンドロームへと至る過程における未病を検出した。さらに、これまでDNB理論が主な対象としてきた急性疾患だけでなく、メタボリックシンドロームのような緩やかな時間変化を辿る疾患にもDNB理論が応用可能であることも明らかとなった。このような慢性疾患における揺らぎの増加をとらえて実証した意義は大きく、慢性疾患の予防・先制医療にもタイミングが重要となる場合があることが明らかとなった。この成果は、今後、未病に対する効果的な予防・先制医療介入を考える上で役に立つと期待される。 2. 高脂肪食摂餌によるメタボリックシンドローム発症マウス_超早期の発現変動遺伝子解析 昨年度までに、超早期の発現変動遺伝子の産物であるタンパク質(特許申請予定につき非開示)に対する阻害剤の肥満効果を見出した。今年度は、この効果機序を改名した。その結果、この阻害剤は慢性炎症の抑制効果ならびに基礎代謝量の亢進作用を有することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、2種類の情報・数理的な解析方法で「未病」状態を理解することを目指してきた。 本年度は、そのうちの一つであるDNB解析に基づく未病の検出およびその理解に関しての研究成果を論文化できた。
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今後の研究の推進方策 |
DNB理論を用いて、生体の遺伝子レベルでのゆらぎを捉える事で、メタボリックシンドロームの未病の存在を世界で初めて科学的に証明した。このことにより、今後、従来の枠組みを超えた未病に対する先制医療戦略の構築が期待されている。しかしながら、この基礎研究の成果を臨床の場に実装するには、DNB理論によって検出される生体のゆらぎ情報を非侵襲的に計測可能な技術の開発が必須である。今後は、ラマン顕微鏡により生体のゆらぎをとらえることで、医療応用可能な未病の検出技術を構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:遺伝子解析(マイクロアレイ)を受託でなく、自身で遂行したことにより、経費削減ができたため 使用計画:ラマン顕微鏡による生体データの入手と解析に使用する
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