研究実績の概要 |
未病として知られている疾病前状態は東洋医学の概念であり、その状態の科学的な解明が求められている。現在我々は、発症過程おける遺伝子発現などの生体情報がゆらぐ状態を未病状態とみなし、その生物学的意味の解明を行っている。昨年度我々は、複雑系数理科学理論であるDNB解析により、メタボリックシンドローム発症マウスの未病状態を検出した1。この未病状態では147個の遺伝子(DNB遺伝子)のゆらぎが確認されている。本年度は、抗肥満薬として汎用されている漢方薬(防風通聖散)をメタボリックシンドローム発症マウス投与し、脂肪組織の発現遺伝子に対してDNB解析を行った。その結果、147個のDNB遺伝子のゆらぎの包括的な減少が明らかとなった。次に、147個のDNB遺伝子とその後に増加または減少する発現変動遺伝子(DEG)とのネットワークをSTRING (Search Tool for the Retrieval of Interacting Genes/Proteins) により解析した。その結果、DNB遺伝子とDEGで構成される5つのサブクラスターが確認された2。
1.Koizumi K., et al., Sci Rep. 2019. 24;9(1):8767. 2.Koizumi K., et al., Evid. Based Complement. Alternat. Med., 2020: 9129134, 2020. doi:10.1155/2020/9129134.
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