研究課題
脊椎側弯症は脊椎が側方に湾曲する病気であり、思春期突発性脊椎側弯症は、思春期に突発的に発症する。したがって、外見の変化が明らかになるころには、脊椎の変形が相当に進んでおり、矯正術や外科的手術が必要となる。患者の精神的・身体的負担は計り知れないが、現時点では根本的治療薬や予測診断技術は開発をされていない。一方、アミノ酸シグナルの開始にはトランスポーターを介したアミノ酸の細胞内流入が欠かせない。これまでの研究により、軟骨細胞特異的アミノ酸トランスポーター欠損マウスが思春期以降に症状の出現するヒト思春期突発性脊椎側弯症の臨床症状と高い類似性を呈することを見出してきた。そこで本年度は軟骨細胞特異的アミノ酸トランスポーター欠損マウスを用いて、軟骨細胞におけるアミノ酸トランスポーターの下流因子(脊椎恒常性維持に関与する責任因子)の同定を試みた。その結果、軟骨細胞特異的アミノ酸トランスポーター欠損マウスの軟骨組織において、p70S6Kのリン酸化低下(mechanistic taget of rapamycin complex-1(mTORC1)シグナルの低下)とeIF2aのリン酸化亢進およびATF4発現亢進(general amino acid control(GAAC)経路の亢進)が認められた。すなわち、軟骨細胞のアミノ酸トランスポーター下流にmTORC1シグナルとGAAC経路が存在することが明らかになった。また本年度は、CRISPR-Cas9による遺伝子編集システム用いてアミノ酸トランスポーター欠損ゼブラフィッシュの作製に成功した。
2: おおむね順調に進展している
軟骨細胞におけるアミノ酸トランスポーターの下流因子の同定に成功するとともに、遺伝子改変ゼブラフィッシュの解析も進んでいることから進展と考えられる。
現状のまま遂行する。
遺伝子改変ゼブラフィッシュの解析が次年度以降になったため、「次年度使用額」が生じた。したがって、「次年度使用額」と「翌年度分として請求した助成金」を併せて、解析を進める予定である。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
Development
巻: 145 ページ: dev164004
10.1242/dev.164004.
Stem Cell Reports
巻: 11 ページ: 228-241
10.1016/j.stemcr.2018.05.020.