平成30年度は、ミトコンドリア病患者では、尿中のタウリン修飾ウリジンが減少しており、尿中の同修飾リボヌクレオチド(τm5s2U)が疾患マーカーとして有用ではないかとの仮説と、また尿中のチオメチル化アデノシン量と病態が逆相関しており、同修飾リボヌクレオチド(ms2i6A)が予後予測マーカーになるのではとの仮説について検証実験を行った。 平成29年度に開発した尿中tRNA修飾解析技術を用いて、久留米大学小児科に通院中のミトコンドリア病患者および健常人の尿中のτm5s2Uならびにms2i6A量を定量解析を行った。その結果、τm5s2Uならびにms2i6Aの両修飾とも、ミトコンドリア病患者で有意に低下していた。また、得られた修飾結果と臨床症状、乳酸・ピルビン酸比、筋生検所見、および遺伝子解析結果と比較し、ミトコンドリアtRNA修飾定量解析のバイオマーカーとしての有効性、鋭敏性、信頼性について検討した。その結果、τm5s2Uならびにms2i6Aは、ミトコンドリア病患者のヘテロプラスミーと逆相関した。さらにτm5s2Uとms2i6Aの量を幾何平均すると、さらに鋭敏性が増した。 平成29年度に開発した尿中tRNA修飾解析技術を用いて、40名の糖尿病患者の尿標本のチオメチル化アデノシン量について測定した。チオメチル化修飾はイオン化されにくいので、ビマン化後質量分析をする方法にて測定を行った。また解析データ定量化するために、チオメチル化アデノシンの安定同位体標品を作製した。
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