研究課題/領域番号 |
17KT0062
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
土屋 慶子 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 准教授 (20631823)
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研究分担者 |
中村 京太 大阪大学, 医学部附属病院, 特任教授(常勤) (00287731)
冬野 美晴 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (30642681)
齊藤 剛史 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (10379654)
安部 猛 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (80621375)
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研究期間 (年度) |
2017-07-18 – 2022-03-31
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キーワード | 医療コミュニケーション / マルチモーダル分析 / 談話分析 / 視線解析 / 依頼行為 / 相互行為の言語学 / 医療レジリエンス |
研究実績の概要 |
2020年度は1本の論文掲載(国際誌)、3つの学会で研究発表(うち1つは海外の研究会)を行った。 年間を通して、Zoomでのプロジェクトミーティングを英国側研究協力者と3回、日本の共同研究者と4回実施した。研究プロジェクトの最終年度として、UK側研究協力者を2名招聘し、ヘルスコミュニケーションと安全管理をテーマとした国際ワークショック(第二回)を主催する予定であったが、コロナ感染症流行の影響を受け、プロジェクト期間を延長し、国際ワークショップの開催も2021年度に延期することとなった。 データ分析の進捗としては、2020年度前半は引き続き、収録した日英での救急医療シミュレーション訓練データの分析、特にチームリーダーとメンバーが視線、発話などのマルチモーダル資源を用いて、いかにチーム内認識共有(共通基盤)を構築しているのか、依頼行為のプロセス解明を中心に、日英のデータを比較しながら分析を進めた。結果をもとに、論文の執筆・投稿を行った。2020年度後半は、データ分析と論文の執筆・投稿を続けると同時に、プロジェクトの成果を編集本として出版するため提案書を作成、出版社との検討を開始した。またUK側協力者が新たに関連する研究助成を獲得し、共同プロジェクトとして、UKと日本での救急医療および手術時の麻酔科診療のシミュレーション訓練を360度カメラで撮影し、医療VRシミュレーターを試作するための検討に着手した。また予定していた2つの国際学会はコロナ感染拡大に伴う大学講義・業務の対応のため参加を断念したが、11月にISGS Hong Kong(国際ジェスチャ学会 香港)セミナーへの招待を受け、救急医療シミュレーション訓練時のチームリーダの依頼行為と視線・ジェスチャの使用について発表を行い、香港をはじめ、UK、US、中国などから参加した海外研究者らと有意義なディスカッションの機会を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症流行の影響のため、大学の講義・業務で予定外の対応を求められ、研究プロジェクトのための時間が十分に確保できなかった。データ分析作業・システム開発の進捗に遅れが生じたこと、また国際ワークショップの延期が不可避となったため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度前半は、これまでに収録した救急医療シミュレーション訓練時のチームリーダーの視線・映像データをもとに、救急医療チームの視線・発話を含むマルチモーダル資源を用いた認識共有と共同行為のプロセスについて、日英のデータでのインタラクションの特徴を比較しながら、さらに分析を進めると同時に、新たに麻酔科診療シミュレーションのデータの収録も行う予定である。UK側研究協力者が獲得した助成研究プロジェクトとの共同プロジェクトとして、救急医療・麻酔科診療のシミュレーションデータをもとに、医療VRシミュレータのプロトタイプを試作する。2021年後半には、データ分析に加え、医療VRシミュレータのテスト、後続プロジェクトでの医療VRシミュレータ制作に向けて改良点の検討を始める。本プロジェクトを通して得られた知見をもとに、視線を含むマルチモーダル分析をさらに発展させ、医療チームインタラクションでの共同行為のプロセスを解明するため、重点的に取り組む研究課題を精査し、後続研究につなげる。 またコロナウィルス感染症流行の影響を受け、開催を延期している第2回 ワークショップを、状況が許すようであればUK側研究者を招聘し対面で、難しい場合にはオンラインにて2022年3月に開催予定である。研究成果の公表については、2つの国際学会(ともにオンライン開催、6月開催COMET [COMMUNICATION, MEDICINE AND ETHICS] Conference 2021にて口頭発表, 7月開催IPrA [International Pragmatics Association] Conference 2021にてパネル発表)での発表を予定している。これらを含む国内国外の学会での研究発表、および論文執筆・投稿、日英の研究協力者らとともに学際的な編集本の出版準備も進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:コロナ感染症流行の影響により、データ分析と国際ワークショップ開催のための費用を繰り越すこととなっため。 使用計画:データ分析、国内・国外で開催される学会参加費、国際ワークショップ開催費用(海外研究協力者の招聘、会場費等)として使用する予定である。
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