研究課題
研究代表者らのこれまでの実績として、代表者小林(環境生物工学)、分担者當房(大気物理化学)、連携研究者牧(バイオエアロゾル学)、岩坂(大気物理学)は、以前から大気バイオエアロゾル(大気浮遊微生物)の研究をともに実施しており、黄砂付着バイオエアロゾル等の採集と生物分析を行ってきた。研究代表者らの所属機関、弘前大学のある津軽半島地域(青森県)において、リンゴは地域に特有な最も重要な農資源であり、日本においても、特に東アジアを対象とした重要な輸出農作物の一つである。しかしながら、平成28年6月頃、津軽半島地域において、胞子を形成する糸状菌が原因のリンゴ黒星病の感染被害が報告され、感染症原因菌の大気を介した拡散が問題となっている。本研究課題実績として、定点観測など大気バイオエアロゾルを採集・生物分析し、分担者の佐野(植物病理学)とともにリンゴ感染症原因菌の探索と濃度を測定を試みる。さらに、分担者の島田(気象学)とともに風向・風速の気象シミュレーションから拡散する地域を予測する。本研究課題実績は、リンゴ感染症の拡大の防止や農薬散布の適時化と軽減のために、大気バイオエアロゾル学、リンゴ病理学、気象学、大気物理化学(氷晶活性:霜沈着)などの研究者が一同に会して、感染症原因菌の観測と拡散地域予測を実施・検討することにある。本研究課題実績のアウトプットは、津軽半島地域特有の農資源リンゴの機能性活用するための社会システム研究およびリンゴ栽培等個性豊かな津軽半島地域社会形成を支える技術基盤開発である。
2: おおむね順調に進展している
2018年度に津軽半島地域において大量発生した黒星病(病原菌名Venturia inaequalis)の大気バイオエアロゾル採集を実施した。採集場所は、弘前大学農園、理工学2号館11階踊り場、リンゴ倉庫、日本海上(南極観測船(砕氷艦)しらせ訓練航海船上)で行った。
2018年度に実施した多くの大気バイオエアロゾルサンプルから、2018年度に大量発生した黒星病の原因菌であるVenturia inaequalisをターゲットとした生物分析をメタゲノム解析法と分離培養同定解析法を用いて行う。
次年度使用額が生じた理由は、2018年に本研究課題であるリンゴ感染症である黒星病が大発生して、そのサンプリングに追われ、生物分析などの解析が行えなかったことである。使用計画は、2019年も黒星病の発生が予測されており、そのサンプリングと生物分析に用いる。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件)
Nature Geoscience
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