研究課題
伝統的品種の消滅は途上国に生じ続けている文化的破壊の一つと言える。背景として、家畜に対する合理主義・経済性追求の高まりが指摘される。そこで、低生産性と批判される家畜品種・形質を取り上げ、「経済性に劣るとされる家畜・品種集団が現実に備えている形質の機能形態学的・生態学的機能把握」を推進した。ベトナム産家禽の低生産性の理解とその人間側の受容の問題を引き続き論議している。また東南アジアからバングラデシュにかけてのヤケイと家禽、そしてその人間とのつながりについて検討した。ヤケイと家禽に関して、野生動物学的にまた今日の社会的変革を課題として比較総合した。「低生産性品種がこれまでどのようにして人間社会に受け入れられ、愛されてきたか」、そして「その行く末は何も策を講じなければどういう結果に至るか」を論議するには、人間の精神世界・心象に踏み込み、事象の理論化を進めるしかなかろう。このことは、すなわち「命と人間の接触面の学融合的解析」が重要であることを意味する。本研究組織は、調査地を中心にこの学融合的解析を進め、家畜化の新たな理論化に踏み込んだ。原初的家畜化という意味では、人文科学的に食肉に向けられる社会の価値観、家畜・牧畜の起源と狩猟の精神性を論議するに至っている。「低生産性家畜継承モデル」を確立した。このモデルは、人間と家畜生命との間柄の比較総合によって成立したものであり、ヒューマンアニマルボンドを基軸とした、人と家畜の間柄の新しい理解である。社会的課題である「低生産性家畜の継承」の道筋を検討し、農村社会の解析に基づいて比較総合を継続、低生産性家畜の継承に関して、その意義を学融合的に理論構築した。
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