本研究は,農家の生物多様性保全に対する「自己宣言」と消費者の「応援宣言」に着目し,農家と消費者の「相互信頼」が形成されるプロセスを経済実験によって明らかにすることで,生物多様性に配慮した農作物の普及を実現する方法を分析した。経済実験の分析結果によると,消費者による応援宣言は初期状態では10aあたり14,404円の補助金と同様の効果を持つが,その効果は次第に低下したしたがって,農家と消費者の相互信頼は,農家が保全活動を開始するきっかけを提供するが,保全活動を継続するためには,農家の保全活動が経済的利益につながる仕組みが不可欠である.
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