研究課題
本年度は、昨年の6品種/系統に加えて、薩摩鶏及び三重地鶏の生理・行動特性並びに遺伝子多型について調査・解析を行った。(1)用いた行動試験によって各品種の行動特性の違いが検出できることが明らかとなった。とりわけ、トニック・インモビリティー試験の2項目及びマニュアル・レストレイントの1項目が品種特性を示す重要な項目であることが示唆された。(2)ニューロペプチドY(NPY)の遺伝子変異について行動反応との関連性を調査したところ、土佐地鶏のストレス感受性にNPY遺伝子が関与していることが示唆された。(3)点滅刺激試験について調査したところ、初生雛ではディストレス・ボーカリゼーションを誘発したが、成長とともにその反応性が低下することが明らかとなった。(4)八木戸とレイヤーを用いて、異品種同居による行動反応への影響を調査したが、変化がなかったことからストレスに対する行動反応は遺伝的な要因が大きいことが示唆された。(5)脱共役タンパク質(UCP-3)の遺伝子変異について体温調節行動との関連性を調査したところ、暑熱環境における放熱行動の開始にUCP-3遺伝子が関与していることが認められた。しかし、熱的中性圏における酸素消費量については変異の影響は示されなかった。以上の結果から、採用した行動試験によって各ニワトリの行動特性が判別できること、それらと遺伝子多型との間に関係のあること、生理特性も品種・系統によって異なることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
本年度予定していた遺伝子多型解析については、ほぼ終了しているものの生理・行動特性との関係についての解析が完了していないこと、遺伝子変異と耐暑性との関係について個体数が十分に得られていない。しかし、材料等の準備は整っており、速やかに調査・解析が可能である。以上より、計画全体としてはおおむね順調に進展しているものと判断される。
家禽生産現場において有用と期待される特性(行動や耐暑性など)について、遺伝子多型との関連性について継続して解析するとともに、これら特性とメチレーションとの関連性並びにヒストン修飾部位の特定を行なう予定である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)
Poultry Science,
巻: 98 ページ: 1243-1253
https://doi.org/10.3382/ps/pey444