研究課題/領域番号 |
17KT0077
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
豊後 貴嗣 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (40325361)
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研究分担者 |
スルチョードリ ビシュワジット 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (00535453)
後藤 達彦 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (30619391)
白石 純一 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 助教 (50632345)
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研究期間 (年度) |
2017-07-18 – 2021-03-31
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キーワード | 多様性 / 環境 / 日本鶏 / 生理特性 / 行動特性 |
研究実績の概要 |
本年度は、主に4つの試験を行った。(1)大軍鶏と白色プリマスロックとそれらF1における行動特性(拘束反応試験)と遺伝子多型と関係:プリマスロックは大軍鶏およびF1のいずれよりも、初動時間が早く、その回数が多いことが示された。多型については、DRD2に変異を有する個体は初動時間が遅く、MAOAに変異を有するものは早い傾向にあった。NPYとDRD1の変異については行動反応との関連性は見られなかった。(2)土佐九斤におけるMyostatin一塩基多型と行動特性の関連性:Myostatin遺伝子一塩基多型のアリル頻度はG: 0.41、 C: 0.59であった。持続性不動姿勢試験においては、G/G個体ではその導入回数がその他の遺伝子型個体よりも多かった。拘束試験では、野生型ホモ個体はその他と比較して初動時間が早く、もがき回数は多いことが示された。攻撃反応試験では、G/G個体の掌に対する攻撃回数がその他の型の個体よりも多いことが認められた。(3)幼雛期における生体内エネルギー状態の変化とヘキソキナーゼ変動の鶏種間比較:血漿グルコース、遊離脂肪酸およびインスリン濃度は鶏種間に差はなかった。肝臓および浅胸筋のヘキソキナーゼについてみると,卵用鶏の活性が最も低いことが示された。(4)暑熱環境下での体温調節行動および体温変化の系統間比較:三重地鶏は肉用鶏より開翼姿勢およびパンティング行動の開始時間が早かったが、直腸温および体表面温度に差は認められなかった。三重地鶏はロードアイランドレッドと比較した場合、趾骨基部温の上昇の度合いは大きく、開翼姿勢およびパンティング開始時間は早いことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していたメチレーション解析については、終了しているものの生理・行動特性との関係についての分析が完了していないこと、遺伝子多型解析については、ほぼ終了しているものの統合的解析が完了していない。(現在種々解析方法を検討中)。しかし、材料等の準備は整っており、速やかに調査・解析が可能である。以上より、計画全体としてはおおむね順調に進展しているものと判断される。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのデータの解析を行なうとともに、個体数等の不足する系統について追加試験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症蔓延により当初予定していたゲノム解析(外注:中華人民共和国)が一時停止したことによる。令和2年度の予算と合わせて予定していたゲノム解析を発注し、その結果をもとにこれまで収集したサンプルを網羅的多型解析を行う予定である。
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