研究課題/領域番号 |
17KT0084
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
鈴木 斎王 宮崎大学, 医学部, 准教授 (60305084)
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研究分担者 |
土方 嘉徳 関西学院大学, 商学部, 教授 (10362641)
高石 真那斗 宮崎大学, 医学部, 助教 (20783070) [辞退]
伊藤 雄一 大阪大学, 情報科学研究科, 招へい准教授 (40359857)
杉原 太郎 岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 助教 (50401948)
小川 泰右 宮崎大学, 医学部, 助教 (60586600)
竹山 ゆみ子 宮崎大学, 医学部, 講師 (90369075)
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研究期間 (年度) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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キーワード | 医療介護連携 / 地域連携クリニカルパス / 標準化 / 情報共有 / 記録支援 |
研究実績の概要 |
2017年度に実施したインタビューに対して,医師および看護師,介護職員へ追跡調査を実施するとともに,インタビュー結果を元に質問紙を作成し,患者支援センター,老健,特養の職員に対して質問紙の配布・回収を実施した.また,食事介助の様子をシャドーイングによるタイムスタディ調査をした結果の分析も行った. インタビューの結果からは,医療施設と介護施設に共通する情報共有上の課題として,医療資源不足がシームレスな連携を阻害する要因となっていること,施設ごとに連携のやり方は異なり,多様性があること,生活支援情報がケアにおいて重要だと考えている一方で,病院から介護施設に送られる情報はほとんどが医療的情報であることなどが明らかとなった.タイムスタディの調査からは,情報共有プロセスが中途半端になることと情報共有をする機会が不足していることが判明した.質問紙については,2018年度末に回収を終え,鋭意分析中である. この調査と並行して,クリニカルパスに記載されている看護記録の分析を行っている.今回の調査では宮崎大学附属病院の看護記録を分析し,他機関の情報や他施設における患者の様子に関する記述があるかどうかを調べた.4人の看護師の記録を調査したが,他機関や他施設における患者の様子はほとんど見られなかった. 支援技術の開発では,椅子用キャスター型デバイスを用いた着座状態識別技術の開発および粘着を用いたタッチサーフェスのための粘着性変化モジュールの開発を行った.いずれの開発も技術的な試行段階であるため,調査結果を踏まえた開発を進める必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2017年度に倫理審査に要した時間の遅れについては,インタビューおよび質問紙調査については,概ね取り返せた.また,看護記録の分析についても着手することができ,技術開発も発表可能な段階に至ることができ,作業に進展は見られたと考える. それでもこの区分にしたのは,申請段階で課題としたデータレコードの同定が,思うように進んでいないためである.また,看護記録・介護記録の分析についても,当初予定していた数には達していない.これらの状態を鑑みて「やや遅れている」区分とした.
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は,現状使用されている電子クリニカルパス(ECP)に欠けている項目の抽出に力を入れる.インタビューデータ,質問紙データおよびECP利用実態分析データから,データレコードを定義する.両者のデータを突き合わせて,医療から介護へと移行する工程の中で,生活支援の観点で現状のECPに欠けている点を詳細に検討する.インタビュー調査および質問紙調査については,実施は完了しており,分析を急ぎ進める.ECP利用実態データ分析については,匿名加工済みデータを元に分析を進める. 看護師の所見の分析については,2018年度から引き続き,予定通り自由記述欄から看護師たちが医療者として報告義務を負う種類のデータと,知識・技能研鑽のために残している種類のデータをWebマイニングの技術を用いて分析する.数値で表される測定項目については,トピックに属する単語とその周辺に存在する数値をテキストデータから自動抽出する方式を提案する.具体的には少数の属性名と少数の属性値(属性名に対応する値)をシードとして,それから未知の属性名や属性値を抽出するためのテンプレートの作成と,テンプレートをテキストデータに適用し未知の属性名や属性値を抽出することを繰り返す,ブートストラッピングアルゴリズムを提案する スムースな病態理解のための支援技術開発については,基本的な技術開発は進んでいるため,インタビュー調査および質問紙調査から見出した現場ニーズと突合しながら,技術の方向性を修正するとともに,技術そのもののクオリティを高める.
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次年度使用額が生じた理由 |
多職種間の協働機会の有無、新規に作成されたECPの利用状況・転院・転所状況などから医療介護連携のためのコアとなるようなデータレコードの同定が思うように進んでいないため残額が発生した。看護記録解析、連携部門記録解析、介護記録解析の数を増加させ、慢性期疾患の治療の標準プロセス、準標準的プロセス、および生活支援の項目抽出に残額を使用する。抽出された項目とインタビューデータ、質問紙データの解析によって得られたデータレコードを比較することにより、医療・介護連携の過程でECPに有るべき生活支援についての観点を検討する。
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