研究実績の概要 |
平成30年度までに、キラルなアミンウレア存在下において、脂肪族ニトリルオキシド、N,N’-環状アゾメチンイミン類、およびC,N-ジアリールニトロン類と2-ヒドロキシ-3-メトキシスチレンとの不斉付加環化反応を検討し、目的とする付加環化体が良好なエナンチオ選択性で得られることを見出した。令和元年度は、比較的取り扱いの困難な環状ニトロンを1,3-双極子として用い、キラルなアミンウレア存在下、2-ヒドロキシ-3-メトキシスチレンとの不斉付加環化反応のエナンチオ選択性について検討した。イソキノリン由来のニトロンを100 mol%のキラルなアミンウレア存在下、35℃で12時間反応させたところ、90%の収率で単一のジアステレオマーが得られ、そのエナンチオマー過剰率は89% eeであった。0℃、48時間の反応条件では、ニトロンが29%(NMR)回収されるものの、65%の収率で付加環化体が得られ、エナンチオ選択性は94% eeまで向上した。また、30 mol%のキラルなアミンウレア存在下、35℃の条件でも24時間で反応は完結し、90%の収率で84% eeの付加環化体が得られることも明らかにした。なお、付加環化体の絶対配置の決定には至らなかったが、エタノールから再結晶により得られた単結晶から、その相対配置は、exo接近により生成したジアステレオマーであることが分かった。7-クロロイソキノリンの誘導体の反応では、100 mol%のキラルなアミンウレア存在下、35℃の条件で99%収率、88% ee、0℃の条件では、80%収率、93% eeの良好な選択性を示した。また、ピぺリジンおよびピロリジン由来のニトロンの反応においては、30 mol%のキラルなアミンウレア存在下、35℃の条件において、それぞれ88%収率、93% eeおよび67%収率、91% eeの極めて良好な結果を与えた。
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