研究課題/領域番号 |
17KT0097
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福田 良一 京都大学, 実験と理論計算科学のインタープレイによる触媒・電池の元素戦略研究拠点ユニット, 特定准教授 (40397592)
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研究期間 (年度) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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キーワード | 量子化学 / 計算化学 |
研究実績の概要 |
分子の量子化学計算により高圧力の効果を考慮する事ができる方法論であるXP PCM法を用いて、環化付加反応に対する圧力依存性が発現するメカニズムを明らかにした。そして圧力による閉じ込め効果が、遷移状態の構造や活性化エネルギーにどのようなメカニズムで影響を与えているのか解明した。本年度は主に、以下の2つの反応系について研究を行った。 1.[2+4]環化付加反応であるDiels-Alder反応に対する圧力効果を、C60フラーレンとシクロペンタジエン分子の反応を例に解析した。Diels-Alder反応では、遷移状態や生成物で分子体積が減少するため、反応速度に大きな圧力効果による加速が見られる事が分かった。さらにこの反応は、付加位置により異なる生成物を与えるが、それぞれの活性化エネルギーに対する圧力効果が異なり、高圧力下では選択性が高まるという結果を得た。 2.アントラセンシクロファン分子の[4+4]環化付加反応と逆環化付加反応に対する特異な圧力依存性を考察した。この反応は、Diels-Alder反応とは逆に逆環化付加反応が圧力効果により加速される。これは、圧力による閉じ込め効果により反応物の構造に歪みが生じ、結果、反応座標としては生成物が遷移状態に近づく事。それに加えて、生成物が構造歪みで不安定化する事で活性化エネルギーが低下する事、これらの効果により特異な圧力依存性が現れる事が明らかになった。この反応の解析により、分子体積の変化を通じて閉じ込め効果を利用するのではなく、構造歪みを通じて閉じ込め効果を利用する新しい遷移状態制御機構がある事が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた閉じ込め環化付加反応における遷移状態制御のメカニズムを明らかにする事ができた。さらに、予想とは異なる新しい遷移状態制御メカニズムを明らかにした。成果の公開も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究から、化学反応に対して我々が開発しているXP PCM法を用いて研究を進める方法ほぼ確立された。今後は当初計画していた、メタンや水などの小分子の閉じ込め型金属触媒による活性化メカニズムの研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存設備を利用した、本年度の予備検討の結果を踏まえて計算機を購入する計画であったが、予備検討研究において予想外に重要な結果を得たため、本年度はその研究を優先された。次年度はこの新たな研究結果を考慮して、あらためて必要な計算機の仕様策定を行い、必要な計算機を購入する。
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