熱力学的パラメータのうち温度や粒子数は、量子化学計算に比較的素直に取り込むことができ、反応自由エネルギーに対する温度やアンサンブルの効果は広く検討されている。一方で、体積や圧力は巨視的な量で、基本的に単分子を扱う量子化学計算で、体積や圧力をあらわに考慮する事は自明ではない。本研究では、単分子の量子化学計算に体積や圧力の概念を取り入れ、さらに化学反応のエネルギーを議論する方法を提案することで、ミクロな視点での反応制御に、体積や圧力という新たな制御因子を加える事ができた。また、本研究の成果は、機械的エネルギーによる化学制御であるメカノケミカル法とも関連しており、さらなる展開が期待できる。
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