研究課題/領域番号 |
17KT0100
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
山門 英雄 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30242035)
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研究期間 (年度) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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キーワード | エネルギー貯蔵物質 / イオン液体の融点と遷移構造 / プリズムカーボンチューブ / シート状炭素二次元周期構造 / CNハイブリッド構造 / (DMDBT)2(F4TCNQ) |
研究実績の概要 |
本研究は、分子やその会合体、および周期的境界条件を満たす結晶について、平衡構造とその間の遷移構造の探索を計算化学的手法を用いて行いそれらの物質が示す特徴的な挙動との関連を、実験的に得られるデーターと突き合わせながら解析し明らかにすることを目的としている。 まず平成29年度は、当初計画に沿って、多コア(36コア)の計算機を導入し、量子化学計算(Gaussian、DFTB+、GRRM、VASPや当研究室で開発しているプログラム)の実行に用いている。 そこでの計算内容は、当初予定していたように、イオン液体や核酸塩基、またエネルギー貯蔵物質(NxやNxOy)についての探索やそれらの構造の安定性をその周辺の遷移構造との関係から評価し、得られた新しいエネルギー貯蔵物質の候補について国際学会(NENCS)で発表した他、イオン液体の融点と遷移構造との間の関係について検討し、日本化学会春季年会において発表した。(なおNxの結果については論文投稿を現在準備中である) また、新型の炭素周期構造について、その実在性をより確かなものにするべく構造の精密化をVASPを用いて行い、日本化学会春季年会で発表した。また、類似の新規物質探索の一環としてCNハイブリッド構造について検討を行い、日本化学会春季年会において発表した他、現在その遷移構造の探索やVASPを用いての構造の精密化を開始しており、ICQC2018での発表も予定している。 この他、本研究においては実験的に新規電荷移動錯体結晶を作りその構造解析を行うことも並行して進めており、(DMDBT)2(F4TCNQ)の新規結晶を作成しその結晶構造解析の結果を投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた計算機の導入、計算の実行、新たな物質の探索・評価、及び並行しての実際の結晶の作成、解析が年度内に達成され、またその結果として学会発表や論文投稿に結びつく結果が得られたため、「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
一昨年度に平成30年度の研究実施計画として挙げていたように、これまでに得られた成果をもとに、分子やその会合体、及び結晶についてその平衡構造や遷移構造を探索し、その物質の示す性質との関係を検討する。(このことは、結果的に有用な新規物質(例:エネルギー貯蔵物質、超強・超硬物質等)の発見をもたらすことがあり得る。) また、これは非常に大きな課題であるが、これまでに検討してきた種々の方法(分子構造の一部固定、四元数の使用による部分構造の回転、束縛条件の乗数法による後付け付加等)を統合し、より一層平衡・遷移構造探索を高速化する手法の開発を目指す。 また、実際の実験における新規結晶の作成、及びその物性の測定や結晶構造解析も継続し、将来における計算結果との比較検討に繋げたいと考えている。 得られた結果は学会等で速やかに発表、報告することを予定している。
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備考 |
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