研究実績の概要 |
本研究は、分子やその会合体、および周期的境界条件を満たす結晶について、平衡構造とその間の遷移構造の探索を計算化学的手法を用いて行いその性質を検討すること、及び結晶構造に関する実験を行うことを目的としている。 まず初年度(平成29年度)に当初計画に沿って、多コア(36コア)の計算機を導入し量子化学計算を実行し論文投稿や学会発表を行ったのに引き続き、平成30年度にはCNハイブリッド構造についてICQC (仏国, Menton)での学会発表を行った他、BCハイブリッド構造へと研究を進め、またRNM近似による一般化超球面探索法によるケイ素の結晶構造探索の報告と併せ、2件の発表を分子科学討論会(福岡)で行った。また新たな結晶構造の予測法として、結晶の充填率に着目した結晶構造予測法の提案等、反応経路探索シンポジウム(SRPS2018, 福岡)において4件の発表を行い、またその後の進展等について日本化学会第99春季年会(2019、兵庫)において計5件の発表を行った。(CPやCAsハイブリッド構造についての報告1件、及び新規結晶(pyrene-BHETCNQ)の作成についての報告も1件含む。) 論文としては、存在が予測されていたプリズムカーボンチューブについてVASPを用いて計算精度を上げ、またGRRMを用いてその遷移構造を予測して安定性を論じた論文を投稿し掲載された。 (Y. Kodaya et.al., Chem. Phys. Lett., 718, 32 (2019)) また本予算を直接用いたものではないが、BCNOS分子について、超球面探索法による平衡・遷移構造の探索とLADD、RUNオプションとの関係、及びそれらのエネルギーとファネルの広さに関する論文も投稿し掲載された。(Y. Kodaya et.al., B.C.S.J., 91, 1625 (2019))
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