研究課題/領域番号 |
17KT0106
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田中 幹子 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (40376950)
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研究期間 (年度) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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キーワード | 進化発生 |
研究実績の概要 |
多くの鳥類の前肢は 3本の指からなるが、オーストラリアの草原や砂漠などに生息するエミューは、前肢は1 本の指しかもたないとされている。しかしながら、成体の骨格パターンを詳細に観察すると、同一種内にもかかわらず、前肢の指パターンには様々なバリエーションが存在していた。 そこで、本研究課題では、エミューの指パターンの“ゆらぎ”に着目し、その要因を明らかにすることを大目的として、研究を行うこととした。しかしながら、複雑な自然界で指パターンの“ゆらぎ”を起こしている要因のすべてを特定することは不可能である。そこで、本研究では、既知の指パターン形成遺伝子ネットワークを起点として、この遺伝的に固定されたシステムに“ゆらぎ”を与える要因を構成的実験により明らかにすることを試みた。 これまでに各種鳥類(ニワトリ、ゼブラフィンチ、エミュー)の胚の初期肢芽において、指パターンに対応した発現を示す遺伝子を探索したところ、軟骨凝集を制御し、且つ、エピジェネティクにその発現が変化しやすい遺伝子が、これらの鳥類胚の初期肢芽において、指パターンに対応した発現を示すことが明らかとなった。さらに、エミュー胚の前肢芽において、この遺伝子の発現パターンを調べたところ、ほかの鳥類胚の肢芽よりも有意にゆらぎがあることが明らかにした。この成果については、現在、リバイス原稿を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでに計画書に予定した通り、エミューの初期胚の前肢芽で後肢芽や他の鳥類胚の肢芽と比べて、発現パターンに有意にゆらぎのある遺伝子を同定し、その成果を論文としてまとめた(Kawahata et al., under revision)。この成果に加えて、エミューの前肢の軟骨パターンには初期発生段階における遺伝子発現パターンのゆらぎだけでは説明できない著しい個体差が存在することを発見したことから、現在は、後期胚での後天的環境要因によるゆらぎについても取り組むことができているため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、エミューの初期胚の前肢芽で後肢芽や他の鳥類胚の肢芽と比べて、発現パターンに有意にゆらぎのある遺伝子を同定できたことに加え、後期胚の形態にゆらぎを生み出す後天的環境要因を明らかにした。そこで、今後は、初期胚だけでなく、後期胚についても、ゆらぎが生まれる機構について、取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は実験材料であるエミュー卵を入手していた牧場のエミューの産卵状態が悪かったことから、産卵期が年度をまたがる北海道のエミュー卵を使用した実験を行うことになったため。
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