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2019 年度 実施状況報告書

藻類-原生動物の細胞内共生のインビトロ進化

研究課題

研究課題/領域番号 17KT0111
研究機関愛媛大学

研究代表者

中島 敏幸  愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (70314945)

研究期間 (年度) 2017-07-18 – 2021-03-31
キーワード細胞内共生 / 実験進化 / 生態系 / クロレラ / テトラヒメナ
研究実績の概要

先行研究で,3種(クロレラ・大腸菌・テトラヒメナ)からなる合成生態系を作成し 13年間培養を続けた.その間,テトラヒメナとクロレラの間に,祖先種間では見られなかった細胞内共生の初期的段階が進化していることが明らかになり,さらに,テトラヒメナはクロレラと共生することにより大腸菌なしの条件で延命されるが(祖先株同士と比較し3,4ヶ月長く生存)永続的には生存できないことや,テトラヒメナは生存と繁殖に必要な成分を全て内生藻類から得ているのではなく,藻類から得られない必須成分(サプリメント)を大腸菌の捕食によって得ていること,等が明らかになった.この事実は,細胞内共生が進化する過程では,従属栄養生物(テトラヒメナ)と独立栄養生物(クロレラ)の共生の維持を支えるサプリメントとしての第3種(細菌)が脇役として必須であり,一般に「共生の進化はこの第3種の存在を介して維持され,進化とともにこの第3種への依存度は低下する」という仮説が建てられた.今年度はこの仮説の検証のため,以下のことを明らかにした.(1)分離テトラヒメナは単独培養(細菌なし)では12種類のアミノ酸,2種類のビタミン(チアミンとピリドキサール),4種のヌクレオシドを要求する.(2)分離テトラヒメナと分離クロレラとの共培養では,4種類のアミノ酸(Arg, His, Met, Trp)と1つのビタミン(チアミン)のみを添加すれば,共生は維持される(それ以外の必須成分は内生クロレラから得る).この結果は,4つのアミノ酸とチアミンを定期的に添加すれば,光照射下で大腸菌なしで細胞内共生を永続的に維持でき,両者の共生をより進化させる2種実験進化系を構築できるだろう.そこで手始めに,アミノ酸とチアミンを含有するトリプトンをごく少量(終濃度0.003%)定期的に添加する培養系を開始し,両種が安定して維持されることを確認した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2019年度終了予定の計画であったが,共生を進化させた分離藻類株のゲノム解析とRNA解析の検討課題が遅れ2020年年度終了に延長し,課題検討を進めている.新型ウィルス感染症による影響も加わり進捗が停滞した.

今後の研究の推進方策

今年度は,終了年度であり,共生を進化させた分離藻類株のゲノム解析とRNA解析を行う.これらの結果から,細胞内共生の進化に関わる藻類の遺伝子の推定を解析する.これから選抜株のDNA抽出,RNA抽出を行い,外部機関への分析依頼を今年後中盤には完了し,データ解析を後半に行うように計画している.

次年度使用額が生じた理由

本研究テーマで計画している事項として,細胞内共生を進化させた藻類(クロレラ)分離株のゲノムDNAおよび転写RNAを解析する予定があるが,解析を行う分離株の選定のための基礎的調査が遅れ,主に外注の分析費が丸々未使用のまま残った.当該年度末で,選定作業は完了したので,新年度(2020)にはすぐにDNAおよびRNAの解析に着手し,2020年度に完了する予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 合成生態系を用いた藻類-細菌の集塊形成による共生の進化2020

    • 著者名/発表者名
      安部雄一,藤井陽介、堀澤栄,佐久間洋,中島敏幸
    • 学会等名
      日本ゲノム微生物学会
  • [学会発表] 緑藻・大腸菌・テトラヒメナの3種からなる実験生態系の長期培養における緑藻-テトラヒメナの細胞内共生の進化と生態系過程2019

    • 著者名/発表者名
      中島敏幸,佐野明子,松原俊行,藤川佳之,大西陽一郎,松田達也
    • 学会等名
      共生起源研究会

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公開日: 2021-01-27  

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