研究実績の概要 |
第51回日本発生生物学会大会にて、ケラタン硫酸の生合成が脊索の形態形成に与える影響とその生物学的意義について発表したところ、大きな反響を得た。今後、ケラタン硫酸がどのようにして耳胞や脊索の形態形成に関わるのか、解析を重ねていくことで新たな知見が得られると期待される。 胚発生に関わる遺伝子(gsc)について、ナメクジウオ胚を用いたin situ hybridization実験に成功し、その発現パターンの詳細を明らかにした。今後はこの経験をもとに、脊索の形態形成に関わる遺伝子の発現パターンの保存性を検討する。ニシナメクジウオ(Branchiostoma lanceolatum)のゲノムデータとトランスクリプトームデータを検索した結果、caveolin, lox(loxl1), chst1, chst3, chst6, calumenin, copz2, lamp1/2といった脊椎動物の脊索の細胞外基質形成や細胞膜輸送に関わる遺伝子のオーソログが存在し、神経胚以降の脊索が形成されるステージで発現していることを見出した。これらの遺伝子が脊椎動物同様脊索で発現するのかを、in situ hybridizationで今後検討し、その進化的保存性を明らかにする。さらにナメクジウオ胚への薬剤処理実験も行うことで、細胞外基質形成と細胞膜輸送による脊索の形態形成機構が、脊索動物共通祖先に由来する普遍的なものであるのかどうかを検討する。
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