研究課題/領域番号 |
17KT0123
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中田 聡 広島大学, 理学研究科, 教授 (50217741)
|
研究分担者 |
雨宮 隆 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (60344149)
|
研究期間 (年度) |
2017-07-18 – 2020-03-31
|
キーワード | 非線形 / 非平衡 / パターン形成 / リズム / 人工物の強化 / 自律性 |
研究実績の概要 |
生体系や自然界で見られるリズムやパターン形成は、生命活動を営む上でも重要であり、私達はこのような現象と向きあって生活してきた。一方、これまでの人工物システムは、限られた条件下、定められた交換時期や消費期限の中で使用されている。そして、その安全性や機能性を確認するために定期検査が行われる。しかし多くのシステムは自律性がないために、不測の環境変化に対して本来の機能を失っても自己修復することができないばかりか、自発的に自身の状態を外部に伝える術もない。つまり、不完全環境情報問題に至る。それに対して多くの生物は、環境変化に対して柔軟に応答することが可能であり、時には人間社会に対して、異常繁殖のように異常現象として自身の状況に関してメッセージを送ることができる。その中で、リズムやパターンに関する学問である「非線形科学」は国内外でも進展してきた。そして複数の要素が複雑に関わる生体系や自然界で見られるリズムとパターンについて、本質的要素の抽出と基本原理の解明が進んでいる。そこで本研究では、非線形科学に立脚して、情報次元、自律性、及び応答の柔軟性を高めることで人工物システムを強化することを目的とする。具体的には、味覚・嗅覚に学び、膜界面の非線形性を活用したセンシングシステムを設計した。これまでのセンシングシステムは線形情報だけであったが、非線形性を指標とした高次元情報型のセンシングシステムを構築した。また時空間発展現象として時空間パターンを自律的に形成する系を活用する実験系を構築・最適化した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
システムの自律性を高めることで、環境の変化に対してより特徴的勝柔軟な応答をすることができるシステムを実験的に構築しているところである。特にリズムやパターンの活用は、生物と同様により効率よく応答することから、従来の人工物を強化する有力な観点になると考えている。センシング部門ではバッテリーやセンサ等、具体的な題材について研究成果が見えている。時空間パターン部門については、時空間パターンをフィードバックさせて新たなパターンを形成するシステムが構築されている。自律運動系については研究成果を複数報告した。
|
今後の研究の推進方策 |
他の研究グループ(例えば自律分散系)との挙動研究や議論を展開して、より広範な研究へと発展させたい。また本研究の目的に向かって、制御可能な時空間パターンの導入による人工物の強化を理論と実験の観点から進めたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究を発展させる上で、よりよい実験法とシステムを見い出したため、実験条件の最適化を検討するため次年度使用金額が生じた。使用計画としては、最適化された条件下での実験に重点的にあてる。研究の進捗状況としては、学術論文も出版されているので問題ないと判断する。
|