研究課題
トキソプラズマの人体内における発育ステージとしては急増虫体のタキゾイトとシストを形成する緩増虫体のブラディゾイトがある。それらは病原性や再発に密接に関係しているため虫体の発育分化に影響を与える因子や機構を理解することは非常に重要である。今回、我々は、in vitroにおけるタキゾイトからのシスト形成と、シスト(ブラディゾイト)からタキゾイトへの活性化について、関与する因子を検討するために、インターフェロンガンマノックアウト(GKO)マウスの胎児繊維芽細胞を用いたトキソプラズマ感染実験を行い、培養条件を様々に変化させてステージの動向を観察した。まず、GKOマウスの胎児皮膚より繊維芽細胞を得、細胞培養プレートで培養し、プレート全面に細胞が生着・増殖するのを確認後、次の2つの実験を行った。①シスト形成能を有するトキソプラズマの深谷株をGKOマウスに感染させ、その腸管リンパ節から得たタキゾイトをGKOマウス胎児繊維芽細胞に感染させたところ、約一か月でシストを形成した。特に培養液のPHを酸性にした場合にシスト形成能が早い傾向がみられた。②野生型マウスに感染させて得た深谷株の脳内シスト(ブラディゾイト)を比重遠心法で得、GKOマウス胎児繊維芽細胞に感染させたところ、約2週間でタキゾイトが繊維芽細胞から遊出してきた。さらに培養液のPHを酸性にすると再度シストを形成した。これらの結果より、トキソプラズマをin vitroでステージ変化させる条件・環境が明らかになり、次年度には培養液中のタンパク質の変化を解析できる素地が整った。
3: やや遅れている
GKOマウスの維持に問題があり、マウス数が足りず、胎児繊維芽細胞の培養が遅れたため。
GKOマウスの維持を確実にするために野生型マウスと交配させF1マウスを得、それらをさらに交配させ、遺伝子チェックを行い、再度GKOマウスを樹立させる。GKOマウス胎児繊維芽細胞を確実かつ十分に確保できれば、in vitroの感染実験がさらに条件を変化させて施行でき、stage変化に伴うタンパク質を質量分析法を用いたプロテオーム解析により、同定できる。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (11件)
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