研究課題
基盤研究(C)
食欲やエネルギー消費の制御中枢である視床下部の分子組成が、肥満発症のプロセスで肥満誘導性の食餌成分によりどのような影響を受けるのかをシステム医学的に明らかにすることを目指して実施してきた。視床下部神経核を構成する脂質分子のパターンに基づけば、大脳皮質や延髄と視床下部神経核群を明確に峻別することが可能であった。遺伝子発現の変化は高脂肪食開始後のそれぞれのタイムポイントに特異的であり、異なる分子病態がシーケンシャルに起こることで肥満症の発症につながるものと考えられた。
内分泌代謝内科学
肥満症の研究の中でシステム医学的なアプローチは必ずしもこれまでなされてこなかった。本研究により、肥満症が“脳の”病気であり、病態生理と密接に関連した脳の分子病態により説明できる病期で規定されるものであることを明らかにした。この成果は肥満症に対するスティグマの克服のためにも重要な知見であり、肥満症の医学の進歩に大きく貢献しうるものと考えている。